タンクが上方へパカッ!独特すぎるBMWカスタム、その名も「クジラ号」

カスタムバイクには、様々な部品を取り付けて派手に仕上げる手法もありますが、ここで紹介する「the whale(クジラ)」という名前のマシンは違います。ボディがシートと一体型の燃料タンクだけという、ひたすらシンプルに仕上げた1台です。
しかも、このタンクはシートと一緒に上方へポップアップするという驚きの新構造を採用。なぜこのような機構で、その中には一体何を収めているのでしょうか?いろいろとナゾが多いけれど、メカメカしさだけはハンパないオーストラリア製カスタムバイクを紹介します。

 

ベース車はBMWのネイキッドモデル

オーストラリアを拠点とする、新進気鋭のカスタムバイクビルダー「Vagabund Moto(バガボンド・モト)」が製作したのがこのバイク。ベースとなったのは、1991年製のBMW R100Rというネイキッドモデルです。80年代から90年代後半まで販売されていた大型エンデューロバイクR100GSと同じパワーユニットを持ち、クラシカルなスタイルが特徴のモデルです。

 

BMW R100R(1991~1996年)

980ccの4ストローク水平対向2気筒、通称ボクサーツインエンジンを搭載するこのマシンは、GS譲りの豊かな低速トルクと素直なハンドリング性能で、街乗りから長距離ツーリングまで快適に走れることが魅力。

特に注目したいのが大型の燃料タンクで、個性的でビンテージ感溢れる形状もさることながら、容量24Lを確保することで航続距離を伸ばすことにも貢献しています。1996年に生産終了となるまで、スタンダードモデルとして根強い人気を誇ったバイクでした。

 

オリジナルのタンクにはギミックが一杯

そのR100Rを徹底的にモディファイしたのが、この「クジラ」号です。ご覧の通り、R100Rを最も印象づける純正の燃料タンクはあっさりと取り外し、シートやサブフレームなども取り除くという思い切りの良さ。ぱっと見は元のバイクがなにか分からないほどです。

 

シートと一体型になった燃料タンクはアルミ製で、しかもモノコック構造を採用しています。このモノコックとは、よく自動車やレーシングカー、航空機などに用いられる車体構造のこと。フレームの代わりに外板へ強度や剛性を持たせることで、軽量性と衝撃吸収性を高めています

 

このアルミ製タンクも同様の効果を狙っており、大型でふくよかなスタイルを実現するだけでなく、強度や剛性などもしっかり確保。ちなみに、このバイクの名称「The Whale」は、このタンク形状のカタチが「クジラっぽい」ことに由来しているそうです(あくまで、作り手側の主張ですが)。また、製作したVagabund Motoが七番目に手掛けたバイクということで、「V07」という別称も付けられています。

 

しかも、このタンクにはさらなるギミックも仕掛けられています。それは、なんとケーブル式のオープナーを引っ張ると、タンク前方とフレームを繋げているヒンジが支点となって上方へポップアップするのです!

ヒンジとタンクにはガス封入式ダンパーもセットされているため、タンクが上方に上がる動きがとてもスムーズ。この機構にどんな意味があるのかはいまひとつ不明なのですが、メカメカしさが満点であることだけは確かです。

 

なお、タンクを上げると中から出てくるのは、車体後方のサブフレーム上にマウントされた小物入れ。革製の財布やライター、カードホルダーなどが収納されています。
もっとすごくメカニカルなものが出てくることを期待したので、ちょっと拍子外れな感もありますが、この状態ならエンジンまわりの整備だけはしやすそうですね。

 

燃料タンクには、ほかにも上面のアクリル製ガラスカバー下にデジタルスピードメーターやインジケーターをセット。ポップアップ式の燃料給油口も用意されています。

 

 

ホイールをはじめ純正パーツも活かす

かなり手を入れた印象の「クジラ」号ですが、純正パーツも部分的に活かしています。まずはホイール。フロント18インチ、リヤ17インチの純正に、スポークをステンレス製に交換して装着、リムはブラックのパウダーコートを施すことで古めかしさを感じさせない仕上がりになっています。

 

また、エンジンも基本的には純正のまま。ボクサーツインの個性的なフォルムを活かしつつ、レギュレーターや電装系などを最新のものに入れ替えることで、走行性能のアップデートも行っています。
また、マフラーはエンジン下にショートタイプのサイレンサーを配したオリジナルに交換。エキゾーストにはセラミックコートが施され、サイレンサーにはアルミ製カバーも装着されています。

 

ちなみに、ぱっと見は分かりにくいですが、リアウインカーをワンオフのナンバープレートブラケット内に収めることをはじめとして、灯火系パーツもしっかりセット(写真撮影時は未装着)。これらの工夫により、このバイクはオーストラリアの法律に適合し、公道走行も可能になっています。

アルミ地を上手く活かした色合いと、大柄なタンクなどによる個性的なそのスタイルは、街で見かけるとかなり目立つこと間違いなしですね。

Vagabund Moto

公式サイト

平塚直樹

平塚直樹

クルマやバイクの新車やお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジー、カスタム車など幅広く記事を執筆中。バイクやクルマ系雑誌の編集者を経て、フリーライターに。愛車はCBR650R、猫好き。