旧車乗りの世界。古き良きを愛する男たち

現在では娘と一緒にバイクを楽しむくらいにはベテランバイカーとなった筆者ですが、所有してきた愛車を振り返ってみると、一番古いものでも1992年式ヤマハSRV250。おおよそ30年前程度で旧車の世界からすれば、ようやく入口に立てるようになってきたくらいの新参者です。

そのくらいで旧車を語るのもおこがましいですが、筆者の周りには1972年式のカワサキ Z1や、1969年式のホンダ ドリームCB750FOURなど、ホンモノの旧車乗りたちが集まっています。彼らと付き合う中で、筆者自身も感じつつある旧車の魅力をお伝えしたいと思います。

 

旧車乗りとなる2つの過程

大きくわけて旧車乗りとなる過程には二つあります。

ひとつは、本人はそう思っていないのに、世の流れの中で立ち止まっていたら取り残されてしまったパターン。そのバイクに惚れ込み、これといった不満もなく、より魅力的と思える新型車もない。壊れたもしくは不調を買い替えの動機とするほうが経済的といえない程度には、整備や修理技術を持っているタイプの人がなりがちです。

買い替えしないが故に、その車両に対する知識とノウハウ、そしてストックパーツが積み上がっていくメリットともデメリットともとれるオマケがつきます。そうして、いっそう買い替えの踏ん切りがつかなくなっていくわけです。

 

今なお根強い人気を誇るGSX1100Sカタナ(1981-2000)。新車以上のコンディションを目指したコンプリート車両を作成するショップもあるほど。

もうひとつは、若いころに乗っていたり、 憧れていた名車として名高いバイクに、 経済的にゆとりのできた今乗ってみたくなったというパターン。こちらの場合は、一定の知識や技術、またはそれに代わる経済力を持ち合わせない人には、いばらの道となる側面もあります。

こちらの場合、比較的新しい車両から乗り換えたバイカーはすぐに手放してしまうことも。自分が一番輝いていた頃の象徴だったり、恋焦がれたものであるだけに・・・・・・性能そのものや、手のかかり具合に幻滅してしまうのです。

 

旧車には手を入れる楽しさがある

そんな旧車の魅力を一言でいえば、やはり「オーナーの愛情に応えてくれる」ことです。

季節や気候、気温や標高といった要素で調子が変わりますし、その都度調整や整備に手をかけただけ調子がよくなったり、しばらく放っておいたせいで動きが悪かったりと、どこか生き物っぽさを感じさせてくれます。もっと言えば、それを個人レベルでどうこうする余地のあることに無常の喜びを感じる・・・・・・という人は実際多いことでしょう。手がかかる子ほどカワイイってやつですね。

 

さらにほぼ全てがアナログ制御されている機構は、手探りで不調や不具合の原因をみつけ、道具やパーツの揃わない出先でもある程度の対応ができます。メーカーでは絶版になってしまったパーツでも、コストを考えなければあらゆるパーツを作成したり代替品を調達できますし、ビニールの被覆や線材が経年で朽ちて、剥き出しになって短絡したり、振動で切れてしまったりした配線も、比較的簡単に原因箇所を特定して引き直したりできます。

 

そういう意味ではクルマほどではないとはいえ、電子制御の配分が大きくなった現行のバイクが20年、30年先どういった扱いになっていくのか気になります。ECUが破損した時、半導体の規格が古くて代替部品が見つからないとか、信号を解析して新規格の部品で組み直すには膨大なコストがかかるなんてことも十分予想されますし。あくまで余談ですが……。

 

その他の魅力といえば、前述のとおり、自分に勢いがあって輝いていた若いころの象徴としてだったり、憧れの実現といった思い出の要素が強くあります。PAや道の駅等で「昔乗ってた!」と話しかけられるのがうれしいといった人も、そこそこいるかもしれません(笑)。

 

旧車ライフにはパーツ確保が欠かせない

やはり末永く旧車といわれるバイクを維持していく上でキモとなるのが、パーツの確保であることは間違いないでしょう。前項であらゆるパーツを作成したり代替品を調達できるとは書きましたが、あくまでそれが可能となるだけのお金が必要ですし、流用や加工して使う際には知識や技術が必須。何の苦労もなく交換できた方がいいのは確かです

最近では、メーカー自身が過去の人気車種のパーツの再生産やレストアを手掛けるようになったというニュースを見かけたり、自らが得意とする車種のリプロダクションパーツを製造するショップも増えてきました。例えば当メディアで以前お伝えしたT.T.R モータースでは、1980年代を代表する名車、ホンダCB-F用の各種リプレイスパーツを手掛けています。

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パーツ探索の効率化と、さまざまなノウハウもネットで共有できるようになった現在、旧車維持のハードルはひと昔前よりも下がっているといえるでしょう。もちろん現行車種でも同様の楽しみ方はできますが、ただ乗るだけではなく、適合を調べてパーツを探してはストックしたり、維持のためのノウハウ探しや、時には発信しながら、同好の士と繋がって歴史を共有していくという、より濃厚なバイクとのつきあい方ができることも旧車の楽しみ方ではないでしょうか?

 

もっとも、時間的にも金銭的にも維持一辺倒になってほとんど乗れてないという人も見かけますが・・・・・・本人が幸せならそれでいいのです。

Kenn

Kenn

モノと生き物の境目が曖昧なちょっとイタい人。 バイク・クルマに限らず、作り手の情熱・魂の込もったモノに惹かれます。 DOS時代から名乗っているハンドルなので、某声優のほうが後発デスヨ