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クラウドファンディングで期待を集めつつも、なかなか実用化につながってこなかったスマートヘルメット。だんだんと市場にでてくるようになりましたね。
その中でもカーボンファイバー製の軽量な帽体と安全性への配慮で注目を集めているのが、Forcite MK1です。
日本への上陸も間近というこのヘルメットを試す機会を得たので、早速レビューしていきたいと思います。
帽体はかなり軽量でコンパクト
実物を目にしてまず気づくのが、そのサイズ感の良さ。カメラやインカム機能を内蔵しているとは思えないほど、普通の大きさになっています。今回試したXL(60-61cm)サイズでも、手持ちの同サイズのモジュラーヘルメットと比べても、若干縦長かなってくらいです。
なにより、冒頭で述べたとおりカーボンファイバー製。バッテリーや基盤、スピーカーといった電子機器が入っているとは思えないくらい軽量です。被ってみても、頭が重いなんてことはありません。
ちなみにFreeサイズが1,500g、XLサイズが1,630gです。
チンガードにカメラ搭載がポイント!
海外製のヘルメットでは一般的なインナーバイザーも完備。日差しが強くなってきたな……ってときにさっと帽体左側のレバーを上げるだけで眩しさをシャットアウトできちゃいます。標準で付属しているクリア、オプションのスモークまたはミラー、3種類のシールドを使い分ければ、どんな天気でもちょうどいい視界が手に入りそうです。
スマートヘルメットのシンボルともいえるヘッドアップディスプレイ(HUD)を採用していないことにも理由があります。視界に情報を増やしすぎない方が、かえって安全だろうという配慮からなんです。そのため代替となる工夫がなされているのですが、そちらに関しては後ほど。
チンガードに目を向けてみると、内蔵されているカメラが確認できます。視野角は166度とかなりワイド。ドライブレコーダーとしてはもちろんのこと、モトブログの撮影用にも使えちゃいます。
録画データの記録は、MicroSDカードで対応。USBポートを搭載しているので、そのままケーブルでPCに接続すれば、録画の読み込みができます。SDカードリーダーがなくてもOKというわけ。もちろん本体の充電もUSBです。
ヘルメットにはスピーカーやマイクも内蔵されているので、録画映像に自分のおしゃべりを追加したり、インカム機能を使用可能です。通話に加えて、ナビやカメラといった各種機能の操作はおむすび型のコントローラーから。ハンドルバーやトップブリッジ、タンク上など好きな位置に取り付けられる2種類のホルダー(画像はハンドルクリップタイプ、粘着テープでのマウントタイプも有)が付属しているので、自分の使いやすい場所に設置できます。
視界を遮らないLEDナビゲーション
細部をチェックしたところで早速被ってツーリング。とはいえ、筆者のような方向音痴ともなるとナビは必須です。そこで使いたいのがForciteの専用アプリ。使い方としては他のマップアプリ同様、行きたい場所を検索して設定するだけ。こちらを活用することでスマートヘルメットの全機能が有効に使えるようになるんです。
もっとも現状だとローカライズしきっていないので、地点検索があまりうまく機能していないのが難ですが……。さすがに本格上陸時には改善されるでしょうし、今後に期待といった感じです。
前述したようにHUDが付いていないので、視界は一般的なフルフェイスとなんら変わりがありません。じゃあナビはどうやって道順を示すのかというと、もちろん音声……だけではなくてチンガード裏についたLEDバーがいい仕事をしてくれるんです。
こんな感じで、右折/左折を光の流れで直感的に見せてくれるんです。「Drive west then turn left(東に向かって進んで左折)」とか「300m turn right(300m先を右)」といった音声案内も一緒にしてくれるので、スマホのナビ画面を見なくてもどう進めばいいかよくわかります。LEDの光量も周囲の照度を検知して自動調整してくれるので、眩しすぎたり、暗すぎたりといったことはありません。
スマートヘルメットに共通することではあるものの、前方確認を常にできるというのは安心です。下を向いてルートを確認しているうちに思ったより先に進んでいたなんてことは間々ありますからね……。
普段インカムもなにもつけていない筆者にとって一番うれしかったのは、走行中でも気軽にラジオを聞けたこと。だいたい独り言をいっているか、一人カラオケするかくらいしかいつもは楽しみがないですからね。
それに最近インカムを後付することによる危険性について、モトブロガーを中心に議論が巻き起こりつつありますし、安全に音楽を楽しむ手段としてもForciteは最適かもしれません。事故ったときでも、突起物がヘルメットにめり込むなんてことはないですし、スピーカーやバッテリーといった内蔵部品が入った状態で、DOTやECEといった各国の安全規格に通っているわけですから。
一番危険なバッテリーだって、液漏れや爆発の心配がない最新の固体リチウム電池を採用しているという徹底ぶりです。こちらの容量は1400mAhとモバイルバッテリーと比べると少ないながら、軽さと持続時間を両立させています。2時間程度の使用で約20%の減りだったので、フル稼働で5~8時間ほど持続というカタログスペックと遜色ないくらいでした。
地図以外にも実装が待たれる機能が数多く存在しています。そのひとつが録画データのクラウドアップロード。これまた未対応の常時録画をONにすれば、常に走行シーンをクラウドに記録していってくれるので、ドライブレコーダーとしての機能も十全に使えるようになります。
さらに、コースログ機能もあります。自分がどこを通ったかルートがわかりますし、マラソン好きが楽しんでいる「GPSアート」よろしく、走行ルートで地図上に絵を書くなんて楽しみ方もできそうです。
高い安全性と便利な数々の機能を持つForcite MK1は近々上陸予定とのこと。続報をおして待つべし!