宇宙でいちばん壊れるクルマ!? ランチア「デルタ」

ものの見事にお盆の帰省ラッシュに巻き込まれ、高速道路を低速でトロトロと走っていた。ふと隣を見ると、ランチア「デルタ・インテグラーレ」が目に飛び込んで来た。年輩の夫婦がウインドウを全開にして団扇で扇ぎながら走っていた。筆者は「さすがランチアだ」と思ったものである。何故「さすが」なのかは、ランチア「デルタ」の存在をわかって貰うしかあるまい。

というわけで今回はある意味、”宇宙一”と言われるランチア「デルタ・インテグラーレ」について語ってみよう。

WRC6度のワールド・タイトルを冠した史上初のスペシャルカー

宇宙でいちばん壊れるクルマ!? ランチア「デルタ」

Flickr : Pedro Ribeiro Simões

ランチア「デルタ」は、名前の通りイタリアの自動車メーカー、ランチアが製造するハッチバック型の乗用車である。しかし、ただの乗用車とは完全に一線を画している。ランチア「デルタ」はWRC(世界ラリー選手権)において1987年~1992年の間、史上初となる6度のワールド・タイトルを獲得したという実にスペシャルな乗用車なのだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフに対抗して作られた5ドアカー

宇宙でいちばん壊れるクルマ!? ランチア「デルタ」

Flickr : nakhon100

デルタの開発には当時、フォルクスワーゲン「ゴルフ」が大ヒットしていたという背景があり、ハッチバック型の2ボックス車で、デザイナーにゴルフを手がけたジウジアーロ率いるイタルデザインを起用するなど、かなりゴルフを意識した作りであったことが伺える。

差別化を図った点として、大衆車然としたゴルフに対し、上品な内装を施すことで「小さな高級車」というコンセプトを持たせることとなった。そのデザインは好評を博し、1980年にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。

デルタS4は完全に市販車とは別物

WRCに参戦するために製造された専用車S4、ファミリーカーであるデルタを、DOHCターボエンジンとトルセンセンターデフを用いフルタイム4WDにしたスポーツモデル、HF4WD。HF4WDの改良型、HFインテグラーレなど、幾多のマイナーチェンジを経て、ランチア・デルタ・HFインテグラーレは上記したように「宇宙でいちばん壊れる車!?」という不名誉極まりない称号を受けることとなる。

伝説はどこから生まれたのか!?

フェラーリ並みに維持費がかかるとも言われ、「アクセルを全開にするとオイルフィルターが吹っ飛ぶ」「エンジンルーム内のゴム類が全て溶け始める」などなど、デルタの故障伝説には枚挙にいとまがない。では、実際にフェラーリよりも維持費がかかるのかを調べたところ、意外な答えが飛び出して来た。

デルタはラリーで活躍していた印象が強すぎ、カスタムを施すオーナーが多かったことから、不名誉な称号を背負うに至ったというのである。完成度が高いが故、趣味レベルでいじると、それが元で壊れる。そうやって、バランスの崩れた車両が、フェラーリ並に維持費のかかる車というわけなのである。冷却効率を高めるために、アルミラジエターに交換する人も多いが、それも逆効果だという。また、エンジンルーム内に熱がこもりやすく、バッテリー寿命が極端に短かく、エアコンの効きもやや甘いらしい。

それでもデルタを駆って(買って)勇者になりたいという方のために

今すぐにでもランチア・デルタを購入したいという勇者が購入する際の注意点としては、極力ノーマルの状態に近い個体を探すことだという。そして、3,000kmを目安のオイル交換。さらにランチアに詳しい専門店のバックアップが必要とのことである。デルタの持てる力をフルに発揮できるように整備するには時間と経費と手間が必要となるという。やはり、維持費が高くつく車両だということは真実らしい。

現在、流通しているランチア・デルタ・HFインテグラーレの相場は200万円台中盤から後半の個体が多い。一度味わうと虜になるというランチア・デルタ。この金額&維持費を安いと思うか高いと思うかはアナタ次第である。

画像 – Flickr : Brian Snelson

センカクダイバー

センカクダイバー

悲運の元パチンコ・パチスロライター。ベスパ歴27年、ミニクーパー歴2年のモッズ系猛禽類。旧車を好むクセに機械イジりや整備はサッパリというご都合主義者。