この記事の目次
現代のバイクは4ストロークのエンジンが大半ですが、以前は2ストエンジンが主流でした。
しかし排出ガス規制によって2ストロークエンジンはほぼ消滅の危機に瀕していますが、なぜ2ストロークエンジンでは排ガス規制をクリアできないのでしょうか。
今回の記事では2ストバイクが消える原因となった排ガス規制と歴史、また排ガスがなぜ悪いものなのかを中心に解説していきます。
排ガス規制の歴史
排ガス規制を知る前に2ストロークエンジンがどのようなものなのかを解説しなければいけません。
現代の主流エンジンである4ストロークは混合気(燃料)を取り込み、ピストンで圧縮させた混合気を点火し、排ガスを排気する4つの工程を経て動力を得ます。
2ストロークエンジンの場合は混合気を取り込み圧縮させ、点火したのちに排ガスを排出する2つの工程で動力を発生させます。
工程そのものは2ストロークエンジンの方が少ないのでパワーも出やすく、ライダーの中には根強い2スト支持者もいらっしゃるのです。
しかし2ストロークは排ガスを排出する際に未燃焼ガス(有毒ガスのイメージ)が混ざっており、4ストロークエンジンのように未燃焼ガスを少なくして排出することができません。
そのため環境面において2ストロークエンジンは技術的に規制をクリアすることができず、現代では2ストロークエンジンの車両が減少しているのです。
排ガス規制のはじまり
排ガス規制がはじまったのは1970年のマスキー法がきっかけでした。
マスキー法はアメリカの上院議員だったエドマンド・マスキー氏が環境汚染を防ぐために提案した法令で、マスキー法が成立したことで自動車メーカーなどが排ガスに関心をもち、規制をクリアできる車両を作ろうと動きはじめました。
ここから日本にも規制の波が及びはじめ、1997年以前は排ガス規制の対象外であった原付も排ガス規制の対象となり、バイク製造においても厳しい規制のもと車両製造することとになりました。
そして2008年にはさらなる排出ガス規制の強化によって、主流であった2ストロークエンジンでは規制をクリアすることができず、現代の主流である4ストロークエンジンが採用され今に至るのです。
近年においては排ガス規制がさらに強まり、新たな規制をクリアできない原付などが多く出てきているためバイク業界の存続も危ぶまれています。
排ガスが及ぼす悪影響とは
排ガスは悪いものとされていますが、具体的に排ガスはどのような悪影響があるかご存知でしょうか。
排ガスには一酸化炭素、炭化水素、窒素化合物、粒子状物質、二酸化炭素など複数の化学物質が存在します。
環境面においては二酸化炭素が紫外線と反応することで光化学スモッグとなり目や喉への痛みを発生させます。
人体においては一酸化炭素は吸うことで酸素運搬機能の低下、粒子状物質は発がん性物質であり排ガスは危険な物質が多く含まれているのです。
4ストロークエンジンは未燃焼ガスが少ないといっても、多少は排出されているため根本的な問題を解決しているわけではないので、4ストロークエンジンもさらに規制される恐れもありいつまでも安心とは言い切れません。
排ガスを出さないようにするには
排ガスは排出されなくなれば問題を解決できますが、はたして排ガスが出ない乗り物なんてあるのでしょうか。
実は近年ではガソリンを使わず電気で動く電動バイクというものが海外を中心に開発・販売がスタートしています。
電動バイクは家庭用のコンセントなどからバッテリーに接続して充電し走らせるため、ガソリンが一切不要、いってしまえばガソリンから動力を得ないので排ガスが出ないクリーンな乗り物なのです。
車種によっては一回の充電で最大約260kmまで走れるものもあるため、ガソリン車よりも経済的でかつ環境面にも適応しているといえます。
しかし電動バイクはまだまだ発展途上のジャンルなので日本国内では原付レベルの車両しかありませんが、今後電動バイクが普及していけば国内でも大型電動バイクが当たり前の時代がやってくるのではないでしょうか。
まとめ
年々世界中で排ガス規制が強化され、規制に適応しにくいバイク業界は販売不振も相まってどんどん衰弱しています。
排ガスはどう転んでもいい物質ではないので排出されないことが一番ですが、ガソリンで走るバイクでは排ガス規制との共存はなかなか難しいといえます。
しかし電動バイクの登場によって排ガス規制をクリアできるバイクも開発されていますから、新しいバイクの形がバイク業界を明るくしてくれるでしょう。