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「UAZ-3909」…と車名を書いても知っているどころか、読むことすらできないかもしれない。ちなみに「ワズ(またはウアズ)」と読む。
日本のロックバンド THE BAWDIESのセカンドシングル『HOT DOG』と、セカンドアルバム『THERE’S NO TURNING BACK』のジャケットに使用されている…などと書いても少々苦しいかもしれない。今回は、このレトロ感たっぷりあふれる、「ワズ-3909」について語ってみようと思う。
UAZは「ウリヤノフスク自動車工場」の略称だ
このワズ-3909は名前の通り、「UAZ(УАЗ;Ульяновский Автомобильный Завод;Ul’yanovskiy Avtomobil’nyy Zavod)」というロシアの自動車メーカーが作ったバンである。ロシア語だとやたらと長いが、要するに「ウリヤノフスク自動車工場」の略称がUAZであると思えばいい。
(※ロシア語なので文字化けっぽいが上記が母国語正式表記だ)
未だにクランク棒を装備している!?
ワズは旧ソ連時代は武器メーカーであったが、その後、軍用車両工場へと事業転換し、四輪駆動車のみを生産する自動車メーカーとなった。生産車両はいずれも登場以来50年間、基本設計を変えておらず、旧来の軍用車や商用車(トラック、バン、バス)然としたものであるが、ロシアの気候や道路事情に対応するための工夫が随所に見られる点がユニークだ。例を挙げると、手動によるエンジン始動を可能とするため、未だにクランク棒が装備されている(2009年製まで)点なとだ。これは、酷寒なロシアではバッテリーが充電状態に関わらず化学反応を起こさなくなって放電できなくなり、始動できなくなるためである。このようにロシアの風土に合った作りがウリのメーカーなのである。
2010年モデルよりDOHCエンジン+インジェクション仕様にグレードアップ
2005年、岩本モータースが正規輸入販売日本総代理店として契約を締結。バンタイプの3909が輸入されることとなった。この3909、原型が造られたのは1958年だが、日本向けの特別仕様車となっており、DOHCエンジン+インジェクション仕様にグレードアップ。エンジンはUAZ社製レギュラーガソリン仕様2,700cc、4速DOHCエンジン+電子制御燃料噴射装置で112馬力。最高速度はカタログ上では127kmとのことである。
排ガス規制をクリアーできず販売終了となる
そんなワズ-3909だが、2012年の日本の自動車排出ガス規制をクリアーできず、日本仕様のワズ-3909も販売終了となった。当時の新車価格は278万円。クーラーなし、パワステなし(どちらも後付けは可)といった、外観同様、レトロ感たっぷりの性能の車に払う金額が、安いか高いかというと人によるとは思うが、手に入れれば、人目を引くことだけは間違いないだろう。それほどユニークなフォルムを持つ車であった。
現在、購入を考えている方は…
現在、購入を考えている方は…輸入台数が圧倒的に少ないこともあり、普通に探してもかなり難しいかもしれない。ヤフオクや中古車情報をマメにチェックして、それなりの金額を使わなければ手に入らないだろう。稀少車を求めるというのは、すなわちそういうことなのである。少し前なら普通に新車が購入できたので残念なのだが、現在はそういう状況になっている。
この車種を魅力的に思った方は、そういったイバラの道を進み続ければならないのだ。