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ライダーなら誰もができているようで、実は正解がわかりずらいのがアクセルワーク。もちろんただ走るだけであれば、さほど気にしなくでも構いませんが、どうせならバイクと人馬一体になりたくありませんか?
アクセルワークはただ単にスロットルを捻れば良いというわけではありません。バイクの加速に合わせるようにスムーズに開けるのがポイントです。アクセルワークがスムーズになると、速く走れるのはもちろんのこと、バイクが受ける負担も減りますから、
- バイクの寿命が長くなる
- 燃費が良くなる
といったメリットがあります。
そこで今回は、具体的にどのようにしてアクセルワークをやれば良いのかについてご紹介していきます。ロードレースを10年近く行ってきた筆者が公道でも役立つ直伝のアクセルワークを伝授しますので、バイク乗りのみなさんはぜひ目を通しておいてください!
アクセル”ガバ開け”はダメな典型例
まずはダメなアクセルワーク例をご紹介します。一番ダメなのは、とにかく勢いで!的なガバ開け。一見エンジンの力をフルに発揮させているようにも見えますが、ガバ開けをすると、
- チェーンに負担がかかる
- タイヤが地面を掻きやすい
といったデメリットがあります。良かれと思ってアクセルを目一杯開けたとしても、反対に遅くなる上に、エンジンやチェーンにもよろしくありません。おまけにスロットルを無駄に大きく開けると燃費も悪いので、まったく良いところなし。では一体どうすれば速く走れるのでしょう。
しっかり加速するアクセルワークはジワってガバ!
しっかり加速するためのアクセルワークを一言であらわすと「最初はジワ開けあとはガバ開け」。実はレースでのスロットルワークもこれと一緒なんですよね。具体的には、
- 先にアクセルをジワっと開けて一旦路面にタイヤを喰わせる
- タイヤが食った後にアクセルをしっかり開ける
といったように、2段階の手順に分けられます。
【手順1】先にアクセルをジワっと開けて一旦路面にタイヤを喰わせる
加速する時にチェーンを張るイメージでアクセルを開けます。リアタイヤに駆動力をかけ、タイヤを転がす感じです。このときに注意するのはチェーンの音。
ガバ開けだと加速でスロットル開けた時にチェーンが「ジャッ!」と暴れます。
おまけにバイク全体が「ガクッ」とショックを受けたような感じになります。スムーズにスロットルを開けてタイヤが路面を喰うと、エンジン音がスムーズに聞こえて「スー」っと加速していきます。
【手順2】タイヤが食った後にアクセルをしっかり開ける
タイヤは一度地面に喰いついてしまえば、あとはエンジンから駆動力をかけると大きなグリップ力を発揮し始めます。
そうなればもうあとはアクセルを開けていくだけ。加速すると自然にバイクが起き上がってくるので、バイクの動きを妨げないようにスロットルを開けていきましょう。
ただしバンク中のガバ開けは絶対禁止。リアタイヤが滑って飛んでいきます。あくまでコーナー立ち上がりでしっかり加速することを忘れないでくださいね。ちなみにこの方法は、すべりやすい雨の日のライディングにも応用できます。
タイヤがスリップしやすいポイントは、減速している状態から加速に切り替わるところでもあります。そのため「ジワッ」と開けることで、タイヤのスリップを抑えることができるのです。
減速時は特に慎重なアクセルワークが必要になる
ここまでアクセルの開け方についてご説明しましたが、もちろん公道で無理は厳禁。
ちょっと公道でのコーナリングについて見ていきましょう。公道では早めにブレーキを終わらせ、あえて何もしない区間を設けるようにしてください。また、対向車のことも考えて加速時もセンターラインには近づかないようにすることが大事。
ちなみにサーキットではこのようなライン取りになります。
ブレーキを残しながらコーナーに入り、アクセルちょい開け区間を極力短く取ります。少しでもタイヤが喰えば、あとはガバ開けして道幅一杯を利用して直線的に加速していきます。
減速・カーブではさらにアクセルワークが大切です。カーブに差し掛かるときの減速はアクセルをいきなり全閉にするのではなく、ブレーキの力加減に合わせてスロットルを徐々に閉じていくように心がけましょう。
なぜなら旋回中は一気にアクセルを閉じるとエンジンブレーキが強くなり、バイクが不安定になるからです。そのためバンクに合わせて、アクセルを徐々に戻していくようにしましょう。
結論:短気は損気。じっくり丁寧にしましょう
アクセル操作は焦らず一つひとつバイクの動きを感じながら。スムーズにしてこそ安全も速さも手に入ります。最近のバイクはコンピュータ制御が優れているため、ライダーが雑に扱ってもしっかり走ってくれるのは確かですが、雑な操作は転倒や故障への近道であることには変わりません。
それにペースが上がってくれば必ずどこかでリスクが出てきますので、この機会に正しいアクセルワークができるようになっておきたいですね。
また、五感をフルに使って操作するのがバイクの醍醐味です。スロットル操作一つ取っても、バイクと対話するように行えば、愛車が本来持つポテンシャルが発揮させられるかもしれませんよ!