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車が普及するにつれて地球温暖化や環境対策で次々と排ガス規制が実施されてきました。特にヨーロッパでは「EURO」と言われる厳しい排ガス規制が設けられ、海外のメーカーはもちろん、日本のメーカーも基準を乗り越えるために四苦八苦しています。
「いやいや、でもこれって車の話でしょ?バイクには関係ないじゃん」
そう思ったあなた!バイクユーザーも人ごとではありませんよ!実は、EURO規制はバイクにもあるのです!しかも、EURO規制は特に厳しいことでも有名で、現在は「EURO4」が導入されています。
当然日本もその基準と同等にしようとの働きがあり、国内では「平成28年国内排出ガス規制」が施行され、これに適合できないバイクは生産終了という苦肉の選択に追いやられるメーカーもたくさん出てきました。もはや適合できなければ絶滅するという厳しい世界…しかも、2020年からもう一グレード上がって「EURO5」が導入されるのです。
では、バイクのEURO5が導入されるとどのようになるのでしょうか?またもや適合できずに生産終了するバイクが出てくるのでしょうか?バイク乗りは要チェックです!
EURO5はどのような規制なの?
EURO5の規制をちょっと詳しく見てみましょう。
▪️CO(一酸化炭素)の排出量は1キロメートル当たり1.14グラム→1グラム(EURO5※予定)
▪️NOx(窒素酸化物)の排出量は1キロメートル当たり0.07~0.09グラム→0.06グラム(EURO5※予定)
数字だけではよくわかりませんが、もちろん今より厳しくなることは免れません。もうぶっちゃけここまでくると、外の空気よりも綺麗なのでは?と思うほどの基準だそうです。
また、排気ガスに含まれる有害物質の基準値だけではなく、「OBD」と呼ばれる「バイクの自己診断機能の装置」も、より高度なものが必要とされます。そうなると、当然今までの値段ではバイクを作ることができないため、バイクの価格が全体的に上昇することは避けられません。
EURO5で影響が出てくるバイク
価格の上昇で特に影響を受けるのが50ccの原付バイクでしょう。原付バイクだと最低20万円ほどは高くなることが考えられるため、30万越えの50ccスクーターが存在することもあるかもしれません。
でも、よく考えてみてください!そんな高い原付バイクなんて当然売れませんよね。しかも、このクラスは電動バイクの普及も進んでいるため、規制がきっかけに原付バイクが消滅するなんてことも考えられます。
また、OBDは基準値を下回る部品の取り付けを防止する役割も担っているため、マフラーも基準に適合したものでないと交換できなくなります。そのため、カスタムの醍醐味であるマフラー交換も簡単にはできない可能性が出てきます。
現に今の段階でもリッターバイクは基準をクリアするためにマフラーで抑えるという手段を取っています。そのマフラーもどんどんデッカくなっており、お世辞にもカッコイイとは言えません…
EURO5で日本のメーカーはやばいのか
EURO5の規制はEURO4と比べて大きくは変わらないとも言われており、EURO4の基準に適合してるバイクであればEURO5も問題なくクリアできるそうです。
そのため、今の規制にクリアしているバイクであれば、いきなり生産終了という心配はないでしょう。
かつてのレーサーレプリカも規制によって消えていった
1990年代はレーサーレプリカブームで、ホンダといえば「NSR」、ヤマハなら「TZR」と、各メーカーを代表する名車が存在していましたが、1998年に実施された排出ガス規制で、次々と2ストロークエンジンのバイクが絶滅していきました。
あのブームの中心的存在だったNSR250Rでさえ、規制の数値に達することができずに排ガス規制の1年後、無念にもその歴史に幕を下ろしています。どれだけ名車と言われても、新しいルールの変化に合わせることができなければ一瞬で消滅される…なんとも厳しい現実。
それくらい、排ガス規制ってバイク乗りからすると恐ろしいのものですね。排ガス規制は年々厳しくなり続け、近い将来排気ガスを出してはいけないとまで言われるのではないでしょうか。
そうなれば、エンジンの代わりに電動バイクがあっという間に普及し、
「耳を突き刺す甲高いエキゾーストサウンド」
「骨まで伝わる図太いエンジンサウンド」
といった、五感を刺激されるエンジンの音が聞けなくなるのも遠くない将来と考えると、ちょっと寂しい気もしますね。
以上、排ガス規制「EURO5」についてお届けいたしました!