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全世界的に旧車バイク市場の高騰がまだまだ続いていますね。多くの方はレストアを施してオリジナルに近い状態で乗っていますが、中には原型を留めることなくガッツリとカスタムする場合もあります。
そこで、旧車好きにはたまらないホンダの銘車「CBX1000」をベースに、スペインのビルダーがカスタムした贅沢極まりないカスタムマシン2台をまとめてご紹介します!
ベースはホンダの輸出向けモデル「CBX1000」
1978年に誕生した「CBX1000」は並列6気筒エンジンを搭載したハイパフォーマンスなフラッグシップモデルであり、主に北米や欧州への輸出向けとして発売された車両です。
登場する時代が早過ぎたのか4年という短命で終わってしまったため、現在では希少性も相まって中古車相場は250〜400万円というプレミアム価格で取引されています。
「#BOLT40」は”ホルヘ・マルチネス”に捧げた一台
そんな貴重なベース車を用いてカスタムを手掛けたのは、スペインはバレンシアに拠点を構える「Bolt Motor Company(ボルト・モーター・カンパニー)」です。
そして、このカスタムマシンのオーナーは同郷であるスペインのバレンシア出身の元オートバイレーサー「ホルヘ・マルチネス(愛称:アスパー)」です。1982〜1997年まで活動し、ダッチTT(オランダTT)では3年連続で優勝を遂げ、GP通算37勝を誇る世界チャンピオンです。そんな、スペインの英雄アスパーのために製作した一台がこちらです。
快適な乗り心地を求めるためハンドルバーはストレートタイプ、倒立フォークやリアサスペンションはオーリンズ製に交換しています。ホイールは軽量のマグネシウムホイールを採用し、信頼の置けるブレンボ製のブレーキやグッドリッジ製のホースに換装。
そして、エンジンやキャブレターはフルオーバーホールされ、バランス調整はもちろんチューニングに至るまで抜かりなく手が加えられています。なにより目を惹くのは美しく取り回されたワンオフのエキゾーストパイプと、左右3本出しのマフラーは迫力に加えダイナミックなサウンドを響かせます。面白いことにアスパーが初めてマフラー音を聞いた時の表情は、”とても貴重なもの”だったとビルダーは語っています。
グリップやスイッチ類、メーターは高性能&デザイン性に優れたモトガジェット製にすることでスタイリッシュにまとめられています。
また、カスタムのほかペイントにも強いこだわりを持ち、デザインはレッドブルがF1のシングルシーターで使用しているペイントをモチーフにしたものです。そして、タンクとシートカウルにチェッカーフラッグをあしらうことで、レーシーな雰囲気へと仕上がっています。
新たな姿に生まれ変わった「CBX1000」は、まさにチャンピオンの名にふさわしい至極のカスタムマシンではないでしょうか。
もう一台はアスパーの友人のために製作した「#BOLT50」
そして、こちらの「#BOLT50」は先ほどと同じく「CBX1000」がベースで、アスパーの親友のために製作された一台です。
フロントエンドはMotoGPマシンさながらの仕上がりで、キャリパーはブレンボのゴールドシリーズと高性能ディスク、レーシングスタイルのブレーキラインを採用。快適で実用的なライディングを実現するためクランプはRenthal製に変更されています。
面白いことに、こちらの車両は世界選手権で使用されたパーツやスペアパーツによって構築されており、フロントリムに至ってはMoto2世界選手権に参戦したバイクから受け継いだもの。
純正のガソリンタンク上部にはBoltの文字があしらわれ、シートカウルにはチェッカーフラッグが描かれています。なお、ペイントワークはAirbrush Customsによって手がけられました。
また、Tapicerias Llop製によるスエード素材のシートも見所で、小ぶりに見えますがギリギリ2人乗りを可能とし、防水加工が施されているので、突然の雨でも心配がありません。
リア周りに至っては、サブフレームやテールユニットまでワンオフで製作。スイングアームにオーリンズのショックアブソーバーをレース用セッティングで取り付けることに何時間もかかったとのこと。
至極のカスタムパーツと美しいデザインで構成された唯一無二のカスタムマシンと言えましょう。
同じ「CBX1000」をベースにしているとは思えないほど、どちらのカスタムマシンも個性的で魅力溢れるものでしたね。ボルト・モーター・カンパニーが手がけた作品は他にもフォーライドでご紹介しており、公式サイトには車種やスタイルさまざまなものがアップされているので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
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