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およそ150年もの歴史を誇る「ジーパン」は今や世界的に着られているトップセラージャンルの一つですが、しかし実はいろいろな謎が隠されている不思議な服でもあるんです。
今日はそんな、日常的に履かれているジーパンの謎に迫っていきたいと思います。
コインポケットは何のためにある?
あまりにも小さすぎてなかなか使われることのない「コインポケット」ですが、実はこれにはちゃんとした用途がありました。
アメリカで懐中時計が主流だったとき、懐中時計を落とすことが多々あったため専用の収納スペースがジーンズに設けられました。これこそが「コインポケット」の始まりです。
時代とともに懐中時計は廃れ、小銭やコンドーム、iPodなどを入れるようになりました。そもそもこのポケットの名前を知らない方も少なくないと思いますが、「コインポケット」のほかに「フィフスポケット(第五のポケット)」という名称もあります。
インディゴは蛇除け!? 実際は効果ないらしいけど
ジーンズの染料であるインディゴのなかでも、昔主流だった天然染料のインディゴ(現在は化学合成染料のインディゴが主流)には「ピレスロイド」という成分が含まれており、実はこの「ピレスロイド」には虫除け、蛇除けの効果があるんです!
ジーンズが炭鉱夫に愛用された理由の一つとして、蛇が出現しやすい労働環境だったからというものもあります。
しかし、最近の研究で分かったのですが、ジーンズに含まれるピレスロイドはあまりに少量すぎて蛇除けの効果はないそうです。
「革パッチ」って何のためにあるの?
ジーンズの後ろにある革パッチ。そもそもなんでこれがついているのか、考えたことはあるでしょうか?
この革パッチの発祥としては、ジーンズ界でも最老舗であるリーバイス社の始まりにまつわります。1880年代にジーンズが流行り始めて各社が製造競争をしていたころ、ジーンズを開発したおおもとであるリーバイス社は商品の品質保証やブランディングのためにパッチをつけるようになったそうです。相当古いものになると牛革ではなく紙製のパッチだったりするそうです。
以降、各ブランドが己の個性や品質保証をアピールするために一般化されたとされています。
デニムの発祥は実はアメリカじゃない!?
ジーンズ、デニムといえばアメリカの炭鉱夫が履いていた作業着、というのが一般的な通説。しかし、実は「デニム」という言葉は南フランスの織物の名称に由来し、「ジーンズ」はイタリア出身の呼び方なんだそうです。
南フランスのニームという街は17世紀に織物業が盛んになり、ニームの街で生産された織物は総じて「Serge de Nimes(ニームの織り)」と呼ばれていたそうです。そして、ヨーロッパ周辺へ盛んに輸出された「セルジュ・デ・ニーム」はイタリアのジェノヴァで船乗りや庶民によって着用されました。
さらにバリエーションのひとつとしてインディゴ染めされたものを着用した船乗りを見た人が、それを「ジェノイーズ(「ジェノヴァ人の」という意味)」と呼んだのが「ジーンズ」の語源とされています。
ダメージ加工は実は日本発祥!?
なかなかに歴史が深いジーンズですが、最近では「ダメージジーンズ」というファッションも誕生し一般化しています。しかしどうやらその「ダメージジーンズ」文化の発祥は日本にあったようです。
第二次世界大戦が終わり、米軍払い下げの作業用ジーンズが日本の市場に出回りました。もちろん着古されているので各部こすれて薄くなったり破けているものが多く、総じてフニャフニャに柔らかかったそうです。
また、生デニムの硬くてゴワゴワした感触は日本人のデリケートな肌には合わなかったようで、輸入した新品のジーンズを洗ったり削ったりなどの加工を施してから売るようになったようです。ちなみに1968年に世界で初めてジーンズを洗ってから販売するのを始めたのは、日本の岡山県倉敷市にある「株式会社ビッグジョン」でした。
これをはじめとして日本では「ダメージ加工」が盛んになり、今では店頭に並ぶ時点ですでにボロボロな見た目のジーンズが当たり前のようになりました。
いかがだったでしょうか、筆者も調べていくにつれてジーンズの知りもしなかった意外な発祥や豆知識に触れ、まさか自分が履いているジーンズがこんなにも歴史あるものだと知って驚きました。「ワイシャツ」もそうでしたが、日常化してる衣類って結構歴史があるんですね。