【動画で紹介】空冷、水冷、油冷のエンジンサウンドの違いとは

現行のクルマに搭載されるエンジンは、すべてが水冷エンジンとなっています。一方で、バイクは水冷が主流ですが、中には空冷エンジンも生産され、スズキは東京モーターショー2019で油冷エンジン搭載した新型 ジクサー250を発表しました。クルマ・バイクにこだわりのある方は、好みのエンジンサウンドを選ぶうえで冷却方法は重要な基準になります。

 

エンジンサウンドは冷却方式が大きく影響する

エンジンサウンドやマフラーの音は、気筒数やシリンダー配列、さらには燃焼方式(4スト・2スト・ディーゼル・ロータリー)で違ってきますが、中でも冷却方法で変わってきます

 

【今更聞けない】空冷・水冷・油冷の違いってなに?

数年前までは、バイクに搭載されるエンジンの冷却が空冷、水冷、油冷が揃って生産されていましたが、年々排ガス規制や騒音規制が厳しくなり、規制に不利な空冷エンジンのラインナップは少なくなり、「油冷」と謳うエンジンは一時的に絶滅していました。

 

しかし、コアなファンはエンジンサウンドにこだわり、旧車好きの間では空冷や油冷にこだわるライダーは少なくありません。

ファンを魅了するエンジンサウンドと冷却方法は一体どのような関係があり、どんな音を奏でるのでしょうか?

 

乾いたメカニカル音の空冷エンジン

エンジンは元々空冷式から始まり、クルマでも1960年代あたりは空冷式が主流。ポルシェにいたっては993型が絶版になった1998年まで911に空冷エンジンを搭載していました。

もちろんバイクでも元々は空冷エンジンから発展し、現在でもヤマハ・SR400やセローは数十年も空冷エンジンを搭載し続け、原付や原付二種のクラスでは空冷エンジン搭載のスクーターが多数生産されていますが、大排気量の空冷となれば、ハーレーダビッドソンやモトグッチ、ドゥカティといった一部の外国メーカーが生産し続け、国産車はごく一部になっています。

そんな空冷独特のエンジンサウンドを楽しめるのは、絶版の国産車や外車といった大排気量のモデルでしょう。

 

空冷のエンジンサウンドは水冷に比べエンジン音が大きく、シリンダーブロック部分に放熱フィンから共振音が発生するため、エンジン本体からも独特なメカニカルノイズが聞かれます。

排気音の特徴は、水冷に比べ乾いていて低回転から高回転まで重低音が響く音です。

 

水冷のように冷却性能で劣るため、夏場や渋滞にはまったときはアイドリングが安定していないような音もし、新型の水冷エンジンにはない「洗練されていない音」というのが、空冷エンジンが魅了されるところです。

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そのため、バイクだけでなくポルシェ911のファンの中では993型以降の空冷エンジン搭載モデルにこだわるユーザーが多いです。

 

静かだけど官能的なサウンドの水冷エンジン

世界のモータリゼーションにおいて、内燃機関の多くが空冷から水冷へと変わりました。

バイクでは125cc以下の小排気量で空冷も多いですが、126cc以上だとほとんどが水冷。伝統あるバイクメーカーも独自の空冷エンジンを長い間貫いてきましたが、完全に水冷化したり、油冷が担うものがほとんど。

理由は、排ガス規制の強化により、空冷エンジンだと規制をクリアできずに新車販売できなくなったことです。

 

しかし、ハーレー・ダビッドソンは多くの空冷Vツインを生産していますが、アメリカでは他国に比べて排ガス規制が緩いから可能なのです。水冷エンジンの特徴はシリンダーブロックの中に冷却水が通る空間ウォータージャケットがあるので、音がそこで吸収されメカニカルノイズが抑えられます。

そのため、アイドリング時や低回転域で走行しているときは空冷や油冷に比べ静か。高回転域だと燃焼室内の一つ一つの爆発が連続的で、甲高い音になります。

 

水冷エンジンが主流になっても、カワサキは独自のエンジンサウンドを追求し、旧車Z1やGPZなど従来の水冷にないメカニカルノイズを奏でるエンジンサウンドチューニングを施しています。

 

新車復活も果たす油冷エンジン!スズキファンを魅了させる秘密は?

油冷エンジンは過去にスズキが積極的に採用してきた冷却方法で、シリンダーヘッドやピストンの裏側にエンジンオイルを噴射して強制的に冷却します。

水冷エンジンのように冷却用溶液を別で用意する必要はなく、エンジンオイルが通る大きなオイルクーラーを搭載し冷却効率を高めています。

スズキはGSX1400を最後に油冷エンジンの生産を終了し、現行モデルでは油冷エンジンはなくなったと思われるかもしれません。

 

しかし、ホンダ・CB1100やBMW・R nineTはヘッド周りにエンジンオイルを循環させる経路のバイパスを設け、油冷システムに似た機構を採用し、これらを「空油冷」と呼ばれています。そのため、油冷エンジンが完全に絶えたというわけでもなかったのです。

油冷エンジンのサウンドは、アイドリング時に「ゴロゴロ」と重低音が鳴り、アクセルをあおると「ヒュインッ、ヒュインッ」と重低音から高回転域で高い音がします。

 

空冷のように乾いた音でもなく、水冷のようにアイドリング時に静かで高回転で甲高い音はしません。油冷エンジンのサウンドは、全回転域で少しヌメッと「ドロドロ」という擬音語で表されることもあり、かなり独特。

スズキ好きのライダーは、この独特な油冷エンジンサウンドに魅了され、一部のライダーは自らを「スズ菌」と自虐的な表現を使うこともあります。

 

水冷主流だが空冷や油冷も魅力的なエンジンサウンド

エンジンサウンドはクルマやバイクに乗っているとき、楽しさや所有感を高める重要な部分です。特にバイクは趣味嗜好の強い乗り物なため、冷却方式は無視できません。

クルマを選ぶときはほぼ水冷しか選択肢はありませんが、バイクを選ぶときは冷却方式とエンジンサウンドは確実に意識すべきです。