【元レーサーが教える】タイヤ感覚を掴む練習法

バイクのライディングは感覚的な部分が多いのも確かなところ。最近は本屋に行くとライテクについて書かれた本をたくさん見かけます。

 

また、バイク雑誌のライテク特集ページでも、「タイヤ感覚」がなんとかって書かれているのもよく見かけます。でも、ぶっちゃけよくわかんない人も多いのではないでしょうか?

確かに普段何気なく乗っているだけだと、タイヤ感覚を掴むのは難しいかもしれません。でも意識をすれば、誰にだってわかるようになるのです。

 

そこで今回は、ロードレースを10年近くやってきた筆者が、さんざん練習して(転倒)して編み出した、タイヤ感覚を身に付けるための練習方法についてご紹介していきます。

 

【タイヤ感覚】を身に付ける練習方法

タイヤ感覚を身に付けるための最も簡単な練習方法は、小さなバイクでぐるぐると旋回すること。タイヤの限界を超えても大丈夫な環境であえて限界まで攻めることで、

  • タイヤが路面に喰いつく感覚
  • タイヤが滑る時の感覚

を身体に覚えさせるのがポイントです。しかしこの方法は、バイクや安全装備、練習に適したスペースがなければできません。

 

そこで街乗りバイクでタイヤ感覚を身に付ける方法を考えてみると、

  • タイヤの空気圧を下げて走る
  • オフロードを走る

となります。もちろん公道を利用してタイヤ感覚を身に付けますので、安全第一で無理せず行うことは絶対条件。では具体的にどのように練習すればいいのか見ていきましょう。

 

タイヤの空気圧を下げて接地感を掴む

まずはタイヤの接地感を掴む練習方法。接地感とは、タイヤが地面に喰いついている感覚のことを言います。

  • 接地感が大きい・・・タイヤが地面をしっかり捉えている感覚で安心感がある
  • 接地感が小さい・・・タイヤが喰いついていない感覚で不安になる

街乗りではタイヤの空気圧をいじることはあまりないと思いますので、空気圧の変化によってどう違うのかを知っている人は意外と少ないはず。

 

そのため、ここはあえてリアタイヤの空気圧を半分くらいに下げてみましょう。空気圧を下げるとタイヤが柔らかくなり、路面との接地面が広くなります。この状態で走ってみると、直線では安定感が増します。これが接地感です。

 

それではこのままちょっとコーナーを走ってみます。(自分の走り慣れた道にしましょう)するとどうでしょう。今度は不安定な感じになりませんか?

これは、空気圧を抜いてタイヤの剛性が低くなったため、コーナーでタイヤが捩れてしまうのです。「腰砕け」とも言われます。接地感を掴むことができれば、タイヤが捩れる感覚もすぐに掴むことができるでしょう。

 

また、タイヤの空気圧を半分にして次のようなことが感じられれば、タイヤの感覚を掴めている証拠でもあります。

  • コーナーでバイクの車高が低くなる
  • 加速が悪くなる

コーナーの遠心力でリアタイヤが潰れると、その分車高が低くなります。また、タイヤが潰れると転がり抵抗が増すため、加速が鈍くなるのです。

 

ちなみにこの練習はリアタイヤだけで試しましょう。フロントタイヤで行うと、もしもの時にコントロールを失って事故や転倒のリスクがあります。

それに、タイヤの空気圧を半分に下げるのは、通常ならばありえない状態ですので、路面の段差を乗り越える時や、切り返しで今までと違う動きをするかもしれません。あくまで無理をしないペースで走りましょう。

 

オフロードを走ってタイヤが滑る感覚を身に付ける

タイヤの接地感や剛性の違いが確認できたら、次はタイヤのグリップ感覚を掴む練習をしていきます。おすすめの練習方法は、滑りやすいオフロード路面を走ること。

アスファルトではなく、土の上を走ることで、タイヤが滑っているかどうかが感覚的にわかるようになるのです。ちなみに轍(わだち)がある路面を走る時は脱線しないペースで走るようにしましょう。

 

減速は基本的にリアブレーキを使います。リアタイヤはロックするかしないかの微妙なところでコントロールすること。微妙なところでコントロールできれば、タイヤの限界と対話している感覚になるので、タイヤの声に耳を傾けるのがポイントです。

ロックするかしないかの感覚を掴むには、リアブレーキを踏みながら徐々にバイクを旋回(バンク)させていくと良いでしょう。リアタイヤが「ズズッ」と滑らせる動作を繰り返すと、だんだんわかるようになってきます。

 

注意点は、あくまで動作はゆっくりすること。特にオフロードバイクではない場合、タイヤのコントロールが難しいので、滑り始めると一気バランスを崩します。

慣れてきたら徐々にフロントブレーキも使って減速をしてみましょう。一気に難易度は高くなりますが、フロントタイヤのグリップ感覚を使むのには最適な練習方法です。

 

しばらく続けると、滑りやすいところでのタイヤの限界がわかるようになります。ちなみにアスファルトの路面でもタイヤの滑り方は同じですが、グリップ力が高いため、タイヤが滑る感覚を掴むには、かなり車速を上げなければいけません。

そのため、まずは土の上で安全にタイヤが滑る感覚を身に付けるようにしましょう。

 

フロントのタイヤ感覚を掴む練習方法


ここまではリアタイヤを中心にタイヤ感覚を掴む練習をしてきました。さすがにフロントタイヤが滑ると即転倒につながるリスクがあるため、低速でフロントロックの感覚を掴めればOKです。

 

最初は時速10km/hくらいでゆっくり直進します。そしてフロントブレーキを、

  • 一気に握る
  • じわっと握る

の2パターンでかけてみましょう。一気にフロントブレーキをかけるとフロントタイヤがロックします。滑っている時は「ジャリッ」となってバランスを崩しますが、ゆっくり直進しているため転ける心配はありません。

しかし「ヤバイ!」と思ったら反射的にブレーキを緩めると思いますので、転倒のリスクは低いとも考えられます。

 

また、じわっと握ると、フロントタイヤにバイクの車重が乗るため、タイヤが潰れている感覚が掴めます。このように、フロントブレーキをかけるとタイヤがどうなるかを感覚的に覚えるようにしましょう。

 

少しでも良いので、フロントタイヤをロックする体験があると、いざタイヤが滑っても心の余裕が生まれます。小さなことですが、この経験はかなり重要です。

 

無理せずできるものからコツコツと練習しよう

誰でもできるタイヤ感覚を掴む練習方法をご紹介しました。もちろん最初からできなくても構いません。大事なのは、一気にやろうと思わず、少しずつ頑張ること。

 

バイクの練習は反復練習をして身体に染み込ませることが重要で、最終的には無意識の状態でできるのが理想です。繰り返しバイクに乗り、徐々にタイヤからの情報をきちんと拾えるセンサーを鍛え、さらにバイクと仲良くなりましょう!

筆者のYoutubeチャンネルには練習方法を解説した動画もあるのでぜひチェックを!

Shinobu Morinaka

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もーりー

もーりー

車・バイクジャンルのWebライター。モータースポーツの聖地鈴鹿を拠点に9年間ロードレース活動をおこなっていますので、実体験をもとに様々な情報をご紹介します。