モトグッツィと言えば、現存するイタリアのモーターサイクルメーカーにあって最古の老舗でありまして、1960年代後半以降は大排気量モデル、とくにツアラーに特化したブランドとして知られています。
近年は、そんなツアラー一本鎗のイメージから脱却すべく、アドベンチャースポーツ・スタイルのデュアルパーパスモデルやボバーなんかも販売していたりもします。
今回は、そんなモトグッツィのツアラーをベースにした美しいカフェレーサーをご紹介してみます。
70年代のツアラーがベースのカフェレーサー!
それがコチラ!イギリス&アメリカに本拠地を置く”Untitled Motorcycles”が制作したカスタムバイク、「Supernaturale」です。しかも…… ベースとされたのは1975年式のツアラー「850 T」。当時から空冷縦置Vツインエンジンのみで勝負していたモトグッツィですが「850 T」は、いわゆるスポーツツアラー的な位置付けでした。
パワートレインは完全オーバーホール&アップグレード!
一気に本題に入りたいところですが…… まずは、その実直かつ丁寧な作業を軽く触れておきます。エンジンは外観の仕上げはご覧の通りなのですが、中身もフルOH済。メインベアリング、コンロッド、コンロッドベアリングは新品へ。クランクシャフトは研磨したうえでバランス取りを実施、シリンダーにはニカジルメッキ加工といった具合です。
クラッチプレートは強化品にアップグレード、フライホイールは軽量化しています。
キャブレターはDellorto PHF-36をチョイス。キャップはCNCで自作。トランペットとメッシュはMalossi製品を合わせています。インテークマニホールドはUntitled Motorcyclesの独自デザイン品。もちろん自作削り出しです。
ガソリンタンクは名車「LeMans」がモチーフ!
コダワリのポイントとして挙げておきたいのがガソリンタンク。この形状からファンの方なら想像できると思いますが…… モチーフとしたのは、モトグッツィの名車「ルマン」であります。アルミニウム製であり、もちろんハンドメイドです。タンクバッヂはレーザーカットにより切り出したもので、ゴールドアルマイト処理をしています。
フューエルキャップはビンテージ物のEnots製品をチョイス。フューエルタップはPaioli製のビンテージスタイル。ディテールに凝りに凝っているのであります。
現代の機能パーツを搭載!
フレームは、「V7 Sport」から採用された、いわゆるトンティフレーム=オリジナルをベースに、シートレールやリアフープなどはUntitled Motorcyclesの手により細部をカスタマイズしています。
オーリンズ製ステアリングダンパーを装備していたり、ショーワ製の倒立タイプ53mmフロントフォーク(これまたアノダイズ施行済)を、装備していたりと、機能パーツには現代的な要素もシッカリと取り入れています。
コンテストでも高評価!
ということで今回は、Untitled Motorcyclesが制作したカフェレーサーをご紹介しました。
ハンドル周りや足回りなど、まだまだ書き足りないほど、車両全体に渡って丁寧に作られている本車両、今年アメリカで開催されたQuail Motorsport Gathering 2019にて、Design & Style Awardを受賞しています。この仕上がりならば納得。素敵なカフェレーサーです!