ライディング中に景色がスローモーションに見える「ゾーン」を経験者が解説!

突然ですが、テレビなどで有名なスポーツ選手が「集中していると周りの景色がゆっくりに見える」なんて言葉を聞いたことはありませんか?

 

ゾーン」とも言われているこの現象は、かなりの集中力を発揮しているときに起きる現象のことで、その人の身体能力を100%発揮している状態でもあります。

 

もちろんこのゾーン体験はバイクレースでも起こり得ることで、実際に筆者もバイクレースをしていたときに何度か経験したことがあります。そこで今回は、バイクレースでも極限まで集中した時に起こるゾーンについて実際の体験を元にご紹介します!

 

集中しているときは周りの景色がゆっくりに見えるというのは本当!

レースで相手と競っていたり、雨のレースなどでかなりの集中力が必要なシーンでは、途中から周りの景色がゆっくり見えてくるなんてことが起こります。相手の動きもゆっくりで、周りの景色も鮮明に覚えているような感覚ですね。これは練習走行でもあまり起きない感覚で、今思えばかなり不思議な体験でもありました。

 

反対に転倒したときは、その瞬間に集中力がフッと切れるため、全くゆっくりには見えませんでしたね。転倒したときは一瞬です。

 

ゾーンが起こるメカニズム

そもそもゾーンってどういうものなのでしょうか?簡単に言うと、脳が自動的に情報を処理し、考えなくても身体が動くようになることです。バイクに乗っているときの脳は、視覚はもちろん、排気音や風切り音、バイクのバンク角など、様々な情報を処理し、同時に身体を動かす指令を発しています。

 

脳の情報処理能力は限界があるため、一つ一つの情報を処理していては時間がかかり、他のことができなくなります。しかし何度も練習して同じような経験を積むことで、脳が考えなくても自動的に動くようになります。

 

そして自動的に動くと、その分脳に他のことを考える余裕が生まれるため、さらに情報処理ができるようになります。これがゾーンです。ゾーン状態だといつもより多くのことが同時にできるようになっているということですね!

 

全てのレースでゾーンが訪れるというわけではない

では全てのレースでゾーンが起こるのかということ、決してそうではありません。もちろんレースによっては全く集中できない時もたくさんありました。

 

この原因を探ってみると、事前に練習や準備がしっかり整い、予選でも良いポジションが取れたときに初めて決勝レースでゾーンに入れるという感覚でした。反対にゾーンに入れないときは、バイクに思うように乗れておらず、どこかしらで不安な感情を持っている状態のように思います。

 

事故の時にゆっくり見えるようになるのは「タキサイキア現象」

ちなみにゾーンの話を聞くと、よく交通事故など突発的な危険に遭遇したときに「景色がスローモーションのように見えた」という経験と同じという人もいます。しかし、この現象は「タキサイキア現象」と言って、ゾーンとはまた違った現象です。

 

タキサイキア現象はなぜ起こるかというと、

  • 脳が危険だと感知すると時間の視覚的な精度が上がるから
  • 目から入った情報がうまく処理できずにコマ送りのようになるから

だと言われています。

 

ゾーンは常に集中状態になるのに対し、タキサイキア現象は突発的に起こったことに対して脳が反応する現象ということですね!

 

しっかりとトレーニングすればゾーンを経験できるかもしれない

ゾーン状態を作るには、今やっていることだけに集中できるかがカギとなります。例えばレース中でも「接触したらどうしよう」「ちょっとバイクの調子が悪そう……」など、走る以外のことに気が取られていれば、脳の情報処理が余計なことに使われるので、ゾーン状態を作り出すことができません。

 

しかし、毎日バイクに乗ったり訓練して無意識に操作ができるようになったり、バイクの動きが感じ取れるようになると、ゾーン状態が作りやすくなるとも考えられます。

 

また、レース本番はたくさんのことを考えてしまうかもしれませんが、いかに余計なことを考えないようにするかも大きなポイントです。

 

ゾーン状態を作ることができれば自分の能力を100%使っている状態とも言えるため、サーキットを走る機会があれば、ぜひ一度自分が集中できる状態はどのようなものなのか考えてみてください!サーキットを速く走るだけでなく、新しい自分が発見できるかもしれませんよ!

 

参考Unsplash,写真AC