カブの伝説エピソード特集【伍】心臓部は世界最小・最強のOHCエンジン!

今でこそカブといえばリッター100キロ以上も走る超低燃費で耐久性も抜群なエンジンとして売りだったのですが、発売当時のカブは50ccでも高回転なハイパワーエンジンとしても有名でした。

 

今回は、そんなカブのエンジンについての開発エピソードをご紹介します!

 

OHVからOHCへと進化し、より高回転のカブが誕生した

スーパーカブは販売で爆発的ヒット飛ばしましたが、もちろん年々モデルチェンジを繰り返し進化を続けていきました。中でも原付なのにパワーのあるエンジンは壊れにくく定評がありましたが、販売から6年目の1964年にエンジンの大規模なモデルチェンジを実施することに。

 

従来のエンジンは開発コストを考えると、OHV(オーバーヘッドバルブ)という構造を採用したエンジンが多く普及していましたが、高回転だとエンジンの騒音がひどく、寿命も短いというデメリットもありました。

 

しかし、モデルチェンジしたスーパーカブのエンジンはヘッドに「カム」という機構を備えたOHC(オーバーヘッドカム)という構造を採用することに。

 

OHCの方が、より高回転にできて馬力が出るという特徴がありますが、カムの構造上エンジンの部品が複雑になるため、開発にはかなりのコストがかかります。

 

また、今までOHVのエンジンを中心に制作していた工場を使ってOHCエンジンを作るとなると、大規模な設備改修が必要になります。そこで、ホンダの開発スタッフは何とか知恵を絞り、性能だけを考えるのではなくコスト上昇も防ぐような部品設計をすることになります。

 

もちろん、まだ誰も作ったことがない50ccのOHCエンジンの開発は簡単ではありません。このエンジンが、スーパーカブの命運も握っているため、もし失敗すればカブそのものが売れなくなってしまいます。

 

当時のスーパーカブは資本金を10倍にするような大ヒット商品であるため、「カブがダメになるとホンダもダメになる」とまで言われていましたので、研究所のスタッフのプレッシャーもハンパなかったでしょうね!

 

鈴鹿サーキットで耐久性をテストしていた

カブのユーザーは仕事や通勤で使うだけでなく、レースを楽しむ人もいるため10,000回転以上回しても壊れないエンジンが必要と考えらえれていました。そのため、鈴鹿サーキットのすぐそばにある鈴鹿製作所で試作車を作りながら開発されることに。

 

製作所で出来たカブをすぐに鈴鹿サーキットに持っていき、様々な耐久テストを繰り返し、工場の人も含めて様々な人が意見を言い合いったおかげで、開発中のほとんどの問題を解決することができたそうです。

 

こうしてスーパーカブのエンジンは50ccながら10,000回転も回る世界最強・最小量産OHCエンジンとして開発されました。

 

実はオイルがなくても走る?なんて神話も

スーパーカブのエンジンにはオイルポンプを採用し、高回転でもしっかりとエンジンを冷却・潤滑できるような構造になっていますが、オイルポンプを採用したことで思ってもいない神話ができてしまうのです!

 

それは、エンジンオイルがほとんど残っていなくてもエンジンが元気に動いているという話です。実際のところは、オイルポンプの吸い口をかなり下に配置しているため、エンジンオイルが100ccくらいしか残っていなくても十分に機能するのです。

 

そのため、ドレンボルトを開けてオイルが少ししか出てこなくてもエンジンとしての機能が保たれていたのですね。スーパーカブはバイク好きが乗るとは限りませんので、オイルをきちんと入れていなくても壊れないようにと開発されていました。

 

もちろん開発者は狙って開発していましたが、まさか神話になるなんて思ってもみなかったのではないでしょうか?

 

もちろんオイルポンプの吸い口を下げるとエンジン内のゴミも吸ってしまうリスクもあるため、並大抵の技術では実現できません。ホンダの技術力があってこそ実現したのは言うまでもありませんね!

 

カブだけでなく様々なバイクの開発秘話を知るともっと楽しくなる

スーパーカブの伝説をご紹介しましたが、創業者の本田宗一郎さんと藤澤武夫さんだけでなく、当時の開発スタッフの熱量もあってこそということが伝わったと思います。

 

現代を生きている私たちが勇気付けられるようなエピソードもたくさんあったため、バイクの知識だけでなく、今後の人生にも役立つのではないでしょうか?

 

今回でスーパーカブの伝説についてのシリーズが終了しますが、スーパーカブだけでなくバイク全てに言えることは、開発はスタッフの努力なくして生まれないということ。そのため、開発秘話などそのバイクの歴史を知ることで愛車のことをもっと好きになってほしいと思います!

 

【過去のカブエピソードはこちら!】

本田技研工業

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