来年(2016年)6月、国土交通省が保安基準を改定し、クルマのミラーをカメラで代用することを認めることになりそうだ。これは国連の「WP29(自動車基準調和世界フォーラム)」が2015年11月、カメラによる代用を「一部のミラー」と限定していた項目を「全てのミラー」に拡大すると決めたことに端を発している。
ミラーレス化はすでに実用レベルに達している
高性能カメラによるミラーの代用は国内主要自動車メーカーが開発を進めており、すでに実用レベルに達しているという。国交省側も、夜間でも肉眼と同程度に見えるよう、モニターの明るさやコントラストを細かく規定、基準を満たせば追加機能を認める模様だ。
数々のメリットが考えられる
両側へ張り出したドアミラーが不要になれば、狭い道路でのすれ違い時や駐車中の接触防止に繋がる。また、エクステリアデザインの自由度も高まる。夜間の視認性も向上するという。ミラーの電動格納機能などの省略により、コストダウンも図れる可能性も出て来る。車内モニターサイズの最適化により、ミラーよりも視認性を高めることが可能だという。
一方、デメリットとは?
このようにメリットが多い一方で、デメリットも存在する。最も課題となるのはシステムの信頼性だろう。実用段階にあるとはいえ、運転中にシステムがダウンした場合、全ミラーの機能を失う可能性がある。雨滴への対応や寒冷地でのカメラレンズ凍結、日射や後続車のヘッドランプ光によるハレーション、ワックスやコーティング剤などによる影響などなど、実用化に至る道程は、考えれば果てしない。
自動運転機能導入の布石となるか?
先日、『自動運転の実用化はもう目の前!? ヴァレオの自動運転装置「クルーズ4U」がフランス一周を走破!』という記事を紹介させていただいたが、自動運転自体の実用化も、もう目前のところまで来ている。2020年には量販車で”完全自動運転”機能の導入も見込まれているという。
今回のミラーレス化の解禁は、この「”完全自動運転”機能の導入」を見越しての改訂だと、もっぱらの噂である。一日も早く、安全に機械に任せてのドライブを楽しめる時代が到来することを、切実に願っている。
参考 – トヨタ