2023年の年初めに相応しく、今新車で買えるモデルを比較&紹介する本企画ですが、今回は国内唯一の250ccビッグスクーター2モデルをピックアップしました。
それではホンダ「フォルツァ」とヤマハ「XMAX」を比較していきましょう!
ホンダ「フォルツァ」
ホンダ「フォルツァ」はビッグスクーター・ブームをけん引した名車「フュージョン」の後継機種として2000年に登場した250ccクラスのビッグスクーターです。
スマートキーになったり、LEDテールになったり、擬似MT機能を搭載したりと、様々な豪華装備を追加・削除しながら、2021年にはモデルチェンジにより新設計エンジン「eSP+」を搭載しフレームの一部が新設計されました。2022年12月に発表された最新2023年モデルでは、新たにメーターパネル内部の液晶を大型化&メーター外周には導光リングが採用されて、商品価値を高めています。
250ccクラス(軽二輪)では珍しい存在となった「フォルツァ」は、精悍なスタイリングとスポーティーな走り、実用性の高さを誇り、また車検が不要のため維持費も安く、バランスのとれたビッグスクーターです。
フォルツァのスペック比較
最高出力:17kW / 7,750rpm(引き分け)★
最大トルク:24Nm / 6,250rpm(引き分け)★
全長(mm)[小ささ]:2,145(1位 / 2台中)★
全幅(mm)[小ささ]:750(1位 / 2台中)★
全高(mm)[小ささ]:1,360(1位 / 2台中)★
車重(kg)[軽さ]:186(2位 / 2台中)
シート高(mm)[足つき性]:780(1位 / 2台中)★
メットイン容量[広さ]:48L(1位 / 2台中)★
燃費:32km/L(1名乗車時)(2位 / 2台中)
燃料タンク容量:11L(2位 / 2台中)
価格(税込):69万1,900円(2位 / 2台中)
ヤマハ「XMAX」
ヤマハが誇るスクーターの”MAX”シリーズの次男坊が250ccクラス(軽二輪)の「XMAX」です。水冷BLUE COREエンジンを搭載するスポーツスクーターであり、2017年の初代以来6年ぶりのモデルチェンジを受けて2023年夏以降に購入可能となる予定です。開発コンセプトは”Condensed 7days Mobility”。毎日=通勤・通学から週末のツーリングまでを楽しめる、という意味でしょう。
走りと快適性はもちろんのこと今回のモデルチェンジで、新たにMAXシリーズの象徴である”Xモチーフ”を随所に織り込んだ新しいスタイリングが採用されました。また、スマートフォン情報やナビ情報を表示できる4.2インチカラーTFTディスプレイや、灯火器類のLED 化、足付き性とフィット感に配慮した新設計のシートが追加され、さらに利便性と快適性を向上させています。
XMAXのスペック比較
最高出力:17kW / 7,000rpm(引き分け)★
最大トルク:24Nm / 5,500rpm(引き分け)★
全長(mm)[小ささ]:2,185(2位 / 2台中)
全幅(mm)[小ささ]:775(2位 / 2台中)
全高(mm)[小ささ]:1,415(2位 / 2台中)
車重(kg)[軽さ]:179(1位 / 2台中)★
シート高(mm)[足つき性]:795(2位 / 2台中)
メットイン容量[広さ]:45L(2位 / 2台中)
燃費:33.8km/L(1名乗車時)(1位 / 2台中)★
燃料タンク容量:13L(1位 / 2台中)★
価格(税込):65万4,500円(1位 / 2台中)★
主要箇所の比較
エンジン

フォルツァのeSP+エンジン
まずはエンジンから見て行きましょう。
「フォルツァ」が搭載するのは2021年のモデルチェンジから採用された新設計の「eSP+」エンジン。徹底したフリクション低減技術の投入、吸排気系の刷新などによって、一層優れた出力特性と環境性能を高次元で両立させたホンダが誇る最新エンジンです。

XMAXのBLUECOREエンジン(写真は欧州仕様300cc)
それに対して「XMAX」が搭載するのはヤマハの最新シリーズであるBLUECOREエンジン。軽量で熱強度に優れたアルミ鍛造ピストン、軽量かつ放熱性に優れたDiASilシリンダーを装備。ボアセンターとシリンダーセンターをオフセット搭載するとともに、軽量コンパクト化に貢献する一体鍛造クランクシャフトや、エンジンオイル循環方式をウェットサンプとすることでロス低減を実現しています。
ということで両車が搭載するのはホンダ&ヤマハが誇る最新エンジンですから、スペック上も環境性能でも大差がなくて当たり前ですね。
フレーム

フォルツァのフレーム
続いてフレームを見てみましょう。
「フォルツァ」は2022年モデルに施した改良にて、フレームにも手を加えています。各速度域における安定感と快適性をさらに進化させるため、フレームの一部を新設計としたのです。その狙いは、街中での取りまわしやすさはそのままに走りの魅力を高めることであり、車体パッケージング全体が見直されています。その一環がフレームを構成するパイプ径や肉厚、材質、それらの接合位置の見直し。またラジエーターをフューエルタンクの前に配置したことで効率的なエンジンの冷却を可能とし、同時にフロントへの分担荷重を増加させ、安心感のある車体挙動を実現しました。
一方で、ヤマハが2022年10月に発表したリリースには、フレームに関する記述はありませんでした。公式サイトでは「強度・剛性バランスの最適化とともに軽量化を図ったフレーム」と簡潔に説明されています。
サスペンション
続いてサスペンションを見てみますと、今度はホンダのリリースにディテールの記載がありませんでした。

XMAXのフロントフォーク(~2022年モデル国内仕様)
一方、ヤマハの公式サイトでは「自然なハンドリングを実現するモーターサイクル型フロントサスペンション」として詳しく記載されています。
「XMAX」のフロントフォークは33mm正立式。優れた減衰力、クッション性、フロント接地感を兼ね備えます。アンダーブラケットは鍛造スチール製でハンドルクラウンはアルミ鋳造品。いずれも裏面リブ形状などはmm単位の精度で作り込み、強度・剛性をバランスさせました。リアサスペンションは、スプリングプリロードを5段階に調整可能。軽快かつ自然なハンドリングを堪能できます。
メットイン容量

フォルツァのメットイン容量は48L
メットイン容量はほぼ互角。「フォルツァ」は48Lの大容量を誇ります。

XMAXのメットイン容量は45L(写真は欧州仕様300cc)
対する「XMAX」は45L。3Lほど「フォルツァ」が上回りましたが、誤差の範囲といえそうです。
スクリーン

フォルツァの電動式可動スクリーン
違いがあったのはスクリーンの調整機能。「フォルツァ」は電動式可動スクリーンを採用しており、無段階で180mmの範囲で調整可能。
対する「XMAX」は、手動で50mmの範囲を2段階で調整可能となっています。ここは「フォルツァ」が勝ります。
ディスプレイ

XMAXの4.2インチカラーTFTディスプレイディスプレーはスマートフォン情報やナビ情報を表示できる(写真は欧州仕様300cc)
「XMAX」が圧倒したのは”コネクテッド”。ディスプレーが4.2インチカラー化されたのですが、ここにスマートフォン情報やナビ情報を表示できるわけです。これは圧倒的に便利です。「フォルツァ」もメーターパネル内部の液晶を大型化&メーター外周には導光リングを採用して対抗していますが、メーターパネルの視認性だけではなく、スマートフォンとの連携によるUI/UXの面で「XMAX」の圧勝と言えましょう。
その他
その他の機能部品、たとえば前後ブレーキやホイールも確認しましたが、いずれも大差ありませんでした。また「フォルツァ」「XMAX」ともにトラクションコントロールとスマートキーを標準装備しており、ここも仲良く引き分けでした。
フォルツァ vs XMAX スペックを比較!
ほんの少しだけ高回転型・低回転型の違いはあるものの、エンジンスペックは互角と言えます。両車が採用するのは最新エンジン。動力性能と環境性能を見事に両立していました。
車体についてはそれぞれがこだわっているポイントが異なることが分かりました。フォルツァは車体パッケージとフレーム、XMAXはサスペンションでした。ちなみに車両寸法(全長×全幅×全高)はフォルツァの方が若干コンパクトです。ところが重量を見てみるとXMAXの方が軽量です。
足付き性の良さとメットイン容量は「フォルツァ」に軍配が上がりましたが、燃費と燃料タンク容量はXAMXが勝ります。
価格はXMAXの方が幾分お安いです。
両モデルを一言でまとめると以下の通りになります。
- フォルツァ = 精悍なスタイリングとスポーティな走り、メットイン容量と大き過ぎない車格から実用性の高さを誇る”シティー向け”
- XMAX = MAXシリーズ共通のスタイリングとスポーティな走りが特徴で、13Lのタンク容量と燃費の良さから”クルーズ向け”
様々なポイントを比較してみましたが、結論としてはほぼ互角でした。外装デザインやカラーリングの好み、ミラー&ウィンカーの位置やステップボードへの足の置きやすさなどで選んでみてはいかがでしょうか。
あとは、KYMCO 「X-TownCT250」あたりも比較対象になるかもしれませんので、あわせてご覧ください。