一般的には知られていない撮影業界の基本を2分で知る!

「ギョウカイ」などという言葉をよく耳にするが、テレビドラマや映画の制作業界についてちょっとお話を。

今も昔も変わらぬ集合場所の定番

多くのドラマや映画はロケ先での撮影がメインになるのでほぼ毎日撮影隊が早朝からロケ地に向かって出発していく。このロケの主体はマイクロバス。監督をはじめ多くのスタッフが乗り込んでくる。緑ナンバーの業務用で屋根には大きなキャリアが付けられ、撮影時に使用するカメラ用のレールや「イントレ」と言われる俯瞰撮影用(フカン・高い場所からの撮影)の足場が積まれている。

そして出発場所、つまりスタッフの集合場所はもう何十年も新宿と渋谷が定番となっている。「スバル前」、「パンテオン横」と昔は言われてた集合地点で「スバル前」というのは新宿駅西口正面の富士重工業ビルの前の事。でも最近はツアーに出発する観光バスが多く、撮影隊の車両が停めるスペースが極端になくなってきたので「新宿郵便局前」というふうに場所も呼び名も変わってきた。

渋谷はその昔、駅前にパンテオンという映画館があってその横を走る青山通り沿いの金王坂が集合地点だったが、こちらも数年前から宮益坂のほうに変更になり「宮益坂りそな銀行前」となった。おそらく90%以上のドラマや映画の撮影隊がこの二つの場所を集合地点にしているだろう。

とにかく朝が早い

彼らの朝は早い。ほとんどが6時から7時には出発していく。どちらの集合場所も多くのマイクロバスやコミューターと呼ばれるワンボックス、2トン車のトラックなどが待機している。眠たそうな顔したスタッフが続々と集合してくる。また、7時までに出発する撮影隊のほとんどは朝食が用意されているため、業界では有名な弁当屋が忙しそうに依頼主の撮影隊のマイクロバスを探して大事な朝食を配っていく。ちなみにスタッフにとって朝食の弁当はとても心強い味方で毎日食べているのになぜか飽きない。

ロケ現場に着くと車両はもっと増える。カメラ機材を載せた「機材車」はカメラ会社から直接現場入りし、現場の飾りや役者用の小物、様々な装飾道具を載せた美術トラック「美トラ」や照明道具を満載したトラック「照トラ」、制作を統括する「制作車」のワンボックスも先に現場入りしてる。また、端役でない限り役者は自前の車かマネジャーと一緒に乗用車でやってくる。だから放映時間が2時間のドラマのロケだと車両は10台以上で人数は総勢50名~60名になる。また2時間放映のドラマの場合、約2週間が制作期間となりその間撮影隊の名を監督名で呼ぶことが多い。たとえば監督が田中であれば「田中組」というふうに。

食事が一番の息抜き

ロケに限らず食事は全員の楽しみ。ほとんどがハードスケジュールで動いているためこの時間はわずかな気休めの時間。昔は「猫またぎ」とも言われ猫でも無視するほどまずかったらしいが今のロケ弁は結構いけるものが多い。ほとんどの場合魚系と肉系の最低2種類は用意されていて当然一流と言われる役者でも同じものを食べる。また飲み物はコーヒー・紅茶などが常に用意されていて各自勝手に飲めるようになっている。ちなみにめったにないが弁当が用意されていない場合「ばれめし」と言い各自で食事をとることになる。「ばれ」は「解散」や「帰る」ことを表す業界用語。

呼び方も実は違う

ドラマや映画制作はテレビ局で制作するバラエティやスタジオ番組と大きく違う。よく聞く「AD」という言葉もないし、アシスタントディレクターがいるのはバラエティや他の番組だけでその場合監督がディレクターとなる。また出演者のことを「えんじゃ」と言ったりしてるがドラマや映画制作では絶対にその言い方をしない。最初の出番の時に助監督が「○○役の○○さんです」と紹介し、その後の出番の時は「○○さん入ります」と必ず名前を言うことになっている。

今だに使われる業界用語

ロケでは監督次第で進行時間が大きく変わっていく。時間が遅れることを「押す」と言い逆に早く進んでいる場合は「巻く」と」言う。だから「巻き」の監督はスタッフに人気がある。そういえばこの世界はいろんな業界用語がいまだに使われている。最近はあまり聞かないが少し古い監督やカメラ(チーフカメラマンのことを言う)がよく言ってたのは「わらう」という言葉。ファインダーの中に映り込んでしまったジャマなものを移動してほしい場合などに使うもので「あそこの車わらっちゃって!」という具合。夜の12時のことは「てっぺん」と言い、ロケがてっぺんまでかかる日は全員気が重い。また、結構古典的な言い方が多く、カメラから見て右側を「かみ」と言い左側を「しも」というし、美術スタッフやカメラ関係のスタッフはいまだに寸法を「尺」で言う。

今日も早朝からロケにでかけてっぺん近くにやっと新宿に帰ってきた。これでやっとばれられる。おつかれさまでした。

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松並学

松並学

広く、浅く、何にでも興味を持ってしまう老人一歩手前の九州人。カップルのことをアベックと言いそうになることを一番注意している今日この頃。