『チキチキマシン猛レース』ってご存知ですか? アメリカのテレビアニメで、日本でも何度も再放送されている人気番組ですね。簡単に説明しますと、11台の個性的なレーシングカーとそれぞれのドライバーたちがドタバタカーレースを繰り広げるというアニメです。
その登場マシンの中に、”ガンセキオープン”という岩石の車体と丸太の車輪で構成されたオープンカーがありました。搭乗者は原始人の外見をしている二人組と、かなり印象的なキャラとマシンです。まぁ、アニメの世界の話だと思っていたのですが、そんなガンセキオープンに近いバイクが製作されたという驚愕の情報を入手しましたので紹介しましょう。
石製の外装パーツをまとうホンダ「CX500」
ベースとなっているのは1982年製のホンダ「GL500」の海外向けモデル「CX500」になります。特徴的な水冷縦置V型2気筒OHVエンジンからも一目瞭然ですね。
やはりこのマシンを印象づけるのは、外装パーツが全て石で作られているところですね。
これ、石風ペイントではありません。本当に石製なのです!
それだけで驚いてはいけません。何とこのバイクきちんと自走できる能力を備えているのです。
玄武岩で外装パーツを作成
こちらのマシンを製作したのは、ドイツ在住のクリスゼルニア氏です。ドイツの雑誌が主催するコンテストのために「CX500」を石製のパーツでカスタムしようと思い立ったとのことです。
ちなみに用いられた石は、ゼルニア氏の家から数キロ離れたアイフェル山脈から採掘されたという玄武岩になります。玄武岩は高密度の火山岩で、かなり重いのですが、成形が容易だということです。
ガソリンタンクの成形から作業をスタート
ゼルニア氏は、まず最初はガソリンタンクから取りかかりました。タンクはホンダのオリジナルと同様の形状で作りました。内部には小さな空洞があるそうです。
じんわりと浸みてこないのでしょうか。
シングルシート……というか石ですが、想像するほど不快感はないらしいですが、まぁ乗り心地が非常に良いわけがないですよね。鉄板のシートもあるくらいですし、硬いシートでも大丈夫な方には問題ないのでしょう。
テール・ユニットにはLEDストリップライトがはめ込まれています。写真でも見ても、きちんと作動していることがわかりますね。
最も苦心したのはヘッドライトで、非常に細かい彫刻と調整が必要だったそうです。ランプは隙間に正確にフィットし、接着剤で固定され、しかも正常に動作するそうです。
外装パーツが石製なので、フレームは4ミリの鋼管を用いて強化されました。
また、サスペンションも強化する必要があるので、フロントフォークにはホンダ「VT600」(シャドウ)から移植されています。リアサスにはハーレーダビッドソン「ダイナ」のモノが取り付けられています。
ちなみに足回りは、コムスターホイールにベイツ製バハタイヤが装備されています。
って、ヘルメットも石製かーい! これぞ本当の石頭ですね。
車両重量は355キロ!
石製の外装を持つ「CX500」ということで、さぞかし重かろうと思いきや、車両重量は355キロと、大型クルーザーと大差ない車重です。
ゼルニア氏は、次に石製で最も速いバイクのギネス世界記録を目指すとのこと。今度は玄武岩でハーレー「スポーツスター」をカスタムするとのことです。
ゼルニア氏の今後の動向に注目したいですね。