ハーレー・バイカーならずとも、バイクマニアならば一目置く存在……それがハーレーダビッドソン「XR750」ではないでしょうか?
2020年に生誕50周年を迎え、今なおスポーツスターカスタムのモチーフにされているフラットトラックレーサー「XR750」を、公式写真をドドんと載せてご紹介してみます。
XR750のご先祖はKR750!
「XR750」はアメリカン・モータースポーツ・シーンに燦然と輝く金字塔なわけですが……それは突然生み出されたわけではありません。そのご先祖様がいらっしゃるわけです。
それが、1952年に市販された「Model K」であります。今に続くスポーツスターのご先祖となった市販車でして、排気量750ccエンジンのバルブ駆動は「WL」から継続してサイドバルブ方式ですが、それでも引き続き4カムを採用。英国車を迎え撃つハーレーが放った高性能モデルであります。
「WL」から変わったのは主に車体回り。フロントにテレスコピック、リアに2本ショックが採用されたことで、イギリス勢に追い付いたワケです。
そして……この「Model K」をベースに開発されたレーシングバイクが、「XR750」のご先祖とななる「KR750」であります。
大変申し訳ないことに……筆者は「KR750」の公式画像を有していないので……そのロードレーサー版である「KR750 TT」を載せておきます。フェアリングから覗くシリンダーヘッド(リアバンク)から、「Model K」と同じサイドバルブ方式のエンジンが搭載されていることが分かるかと思います。
アメリカのレースシーンというのは日本ともヨーロッパとも異なっているのはご存知の通り。で、最も人気があるフラットトラックレース(またはダートトラックレース)向けのモデルを開発し、後にロード版の”TT”仕様を追加する、というのがハーレーの基本スタンスです(例外あり)。
XR750の初代モデルは1970年に誕生!
ようやく本題。コチラがハーレーのフラットトラックレーサー「XR750」。ここに掲載している写真は、大変貴重なデビュー年=1970年のモデルであります!
「XR750」が開発された背景には、AMA(American Motorcycle Asssociation)のグランドナショナルチャンピオンシップのクラスCルール改定が関係しています。それまでのOHV500cc、SV750ccというバルブ駆動方式に応じた排気量制限が撤廃されたため、ハーレーとしてはOHV(あるいはOHC)のモデル開発を求められたのです。
ということで1969年に開発が始められ、その翌年に登場した「XR750」。そのベースとされたのは市販車「XL750」。ということでエンジンはお馴染みのショベルヘッドにソックリ。排気系も2本出しアップタイプではありませんし、エアクリボックスにも「XL」の面影が残るものとなっています。
無事にデビューを果たした「XR750」なのですが……残念ながら1970~1971年の結果は、望むようなものではありませんでした。
というのも……シリンダーヘッドが鋳鉄製だったため冷却が上手く行かなかったのであります。もう一つ付け加えておくと……、OHV化に伴い高出力化されたエンジンにトランスミッションが追随できず、そこにもトラブルが多発したようです。
そんなワケで1972年、「XR750」は改良されたのであります。
XR750は1972年にヘッドがアルミ化された!
それがコチラ! 残念ながら正確には1975年の「XR750」の写真になります。私達に馴染みがあるのは、ツインキャブ化された、この形ですよね?
フロントフォークは1970年当初からイタリアのチェリアーニ製だったはず(曖昧です……)。
そして左2本出しのアップマフラー、シュッとしたシートカウルの形状……コレが「XR750」なのであります。
そして今回の「XR750」生誕50周年に合わせて、ハーレー本社が実に丁寧に説明してくれていまして……
コレがアルミ化されたシリンダーヘッド。1975年モデルのものです。
ちなみに1972年シーズンは、マーク・ブレスフォードのライディングによりハーレーがタイトルを獲得しましたが、1973年・1974年シーズンからは、ケニー・ロバーツ(後のキング・ケニー)のライディングによりヤマハが日本勢として初タイトルを獲得していまして……1975年シーズンはゲリー・スコット、1976年からは3シーズン連続でジェイ・スプリングスティーンでタイトルを獲得したと……そんな流れになっていまして……
なので、この1975年モデルをハーレー本社がプッシュしているのかも知れません。
XR750、生誕50周年おめでとう!
ということで今回は、ハーレーが誇るレーシングマシン「XR750」について、生誕50周年を祝うついでに、ご紹介してみました。
なお、極力、公式発表ベースでご紹介しましたが、一部不安な部分もあります。本モデルについてはマニアな方がいらっしゃると思いますが、細かな突っ込みはご遠慮頂けたらと思います(笑)