スマートフォン全盛とはいえ、今でもちょっとしたメモ書きに欠かせないボールペン。スーツや作業着の胸元を飾る小粋なアクセサリーにもなるともあって、何気にこだわっている人も多いことでしょう。「そのボールペンかっこいいね、どこのメーカー?」なんて話のタネにもなりますし。
モンブランやパーカーなど定番どころのシックなデザインもいいですが、バイカーならもうちょっと遊び心が欲しくなるところです。例えば、デザインも機構も一味違う、メカニズムの塊のような一品を。
そんな男心をくすぐりまくりなボールペン、あります。内燃機関をはじめとして、設計から製造まで一貫した機械の開発を手掛ける荒木エフマシン渾身の一品を見よ!
質感もギミックもたまらないボールペン「MechaSEA」
こちらが、今回ご紹介するメカメカしすぎるボールペン「MechaSEA」。名前からしておめかしとメカを掛け合わせたようで、作り手の遊び心が表れています。
見た目もバイクかクルマのカスタムパーツといわれても違和感がないほど。金属パーツに使用されるのと同じジュラルミンから削りだしているのだから、ある意味当然かもしれません。それにしてもヘアライン仕上げの美しさといったら……!
「カッコがいいのはわかったけど、重くて実用には向かないのでは」なんて心配は無用です。むしろ手にほどよい重さが感じられるので、とてもよく馴染みます。長時間ペンを走らせていても疲れにくそうなくらいです。
さらにMechaSEAの魅力を引き立てているのが、メカっぽいギミック。例えば胸ポケットに指す際に便利なクリップ部分は、一見するとどこにもないように見えますが、サイドのトリガーを引けば「パシャッ」と小気味のいい音を立てて開くようになっているんです。
ペン先の出し方も独特。後端についているのはノックではなく、円形のローラーです。こちらをぐるぐると回転させることで、ペン先の出し入れができるようになっています。
ノック式よりも滑らかな触り心地ということもあり、かえって使いやすいくらいかも。こうしたメカメカしい機能に男は惹かれちゃうんだよなぁ。
ボールペンの売り上げで面白マシンをつくる
それにしても、エンジン屋さんがボールペンをここまで本気でつくるなんてなんだか不思議な気もしてきます。ノベルティで配るにしてはコストがかかりすぎるし、副業というには手間もかかっているし……。
その裏にはちょっと他の企業では真似できないモノづくりへの情熱が隠されています。
実は、ボールペンの販売は他のメーカーやカスタムショップではやらないような趣味性の高いカスタムマシンやパーツ製作に使う資金調達の手段なんです。これまでも「SR500にターボをつけよう」なんてプロジェクトを実行してきました。
できあがったものの調整はまだまだ発展途上。ターボラグが解消できておらず、かなりピーキーな性能で、さらには補器類のおかげで左右のバランスも今一つになってしまったとか。それでも「面白そうだからとりあえず作る」なんてフットワークの軽さがステキ。
現在は1990年代にビモータが発売していたスーパースポーツ、SB6のミニサイズレプリカ制作計画を進行中です。スズキGAGのエンジンをはじめとする市販部品を使いつつも、フレームやクランクケースなど流用ではすまない部品を3D図面から設計しています。
驚くべきことに、彼らが作り上げた設計データはすべてオープンになっているんです。3Dプリンターさえあれば、誰でも同じ部品が作れてしまうというワケ。同社のブログには最新の設計データがどんどんアップされています。
こうした常識外れともいうことができる背景には、荒木エフマシン株式会社ならではのスタンスがあります。彼らにとってカスタムはあくまで趣味の延長。「商売にすると、顧客の意見を取り入れたり、トレンドを考えなければならず、好きなものがつくれなくなってしまうから」というのがその理由です。まるでプライベートビルダーの発想で、ちょっと親近感が沸いてしまいます。
ボールペン自体も魅力的ですし、その売り上げの使用用途もいちバイカーとしては共感せずにいられない「MechaSEA」。自社サイトだけでなく、アマゾンやヤフオク、さらにはふるさと納税の返礼品としても購入できるので、一度手にしてみてはいかがかな。