ブガッティ・ヴェイロンでも知られる驚異のW型16気筒エンジン!強烈なインパクトがありますが、16気筒エンジンであれば過去にも数台登場しています。ブガッティ以外でどのようなクルマに16気筒エンジンが搭載されていたのか?ここでは4台ご紹介します。
車体じゃなくエンジンが主役!16気筒エンジン搭載車はどんなクルマ?
普段、街中で見る乗用車のエンジンは4気筒や6気筒がメイン。さらに大きなもので高級セダンに搭載されるようなV型8気筒、軽自動車ではほとんどが3気筒です。
いくら多気筒なエンジンといっても、我々が知っているのは12気筒のスーパーカーが限度ですが、それを超える16気筒エンジンなんて「そんなの必要!?」と思ってしまいます。
8リッターW16気筒エンジンを搭載したブガッティ・ヴェイロンがスーパーカー業界で大注目され、16気筒エンジンが若干聞きなれた感はありますが、過去をさかのぼれば16気筒エンジンはいくか存在します。
しかも、16気筒エンジンを搭載したクルマは公道走行モデル、コンセプトカー、フォーミュラーカーまでバラエティに富んでいます。
ドバイの大富豪向けプレミアムハイパーカー・デヴェル16
ドバイにあるデヴィル社が開発した『デヴィル16』は排気量12.3リッターのV型16気筒ターボエンジンを搭載。スペックは最高出力5,000馬力、最大トルク59.4kgmで最高速度は560km/hと信じられない値を明かしています。
さすがに時速560km/hは信じがたいが、公式発表の最高出力/最大トルクはダイナモテストで実現させた動画が公表しています。
しかし、このスペックを発揮するデヴィル16は公道走行のためのライセンス取得できないため、ナンバー取得のため2,000馬力V8エンジン搭載のモデルとV16エンジンそのまま3000馬力に抑えた2モデルも発表し、前者で約1億8,000万円、後者で約2億200万円で売り出されています。
カウンタックと同じデザイナーが作った・チゼータ・V16T
チゼータ・V16Tはスーパーカーマニアの間では知られたモデルです。なぜかというと、ランボルギーニ・カウンタックをデザインしたマルチェロ・ガンディーニ氏により作り出されたスーパーカーだからです。
リアミッドシップに6リッターV16気筒エンジンを横置きにしているため、全長4,443mmに対して全幅が2,020mmとかなり幅広で、1992年に生産された古いモデルですが、最高速度328km/h、0-100km/h、加速4.4秒を達成しています。
最終的に15台しか生産されず、そのうち2台が日本に輸入されていました。
実車化されなかった幻のキャデラック・シックスティーン
キャデラック・シックスティーンは2003年にGMによって開発されたコンセプトカーです。
フロントに13.6リッターV型16気筒エンジンを搭載して1,014馬力も発揮。
プレミアムセダンとして静粛性やエコな部分も取り入れるため、パワーが不要なときは16気筒のうち8気筒また12気筒までのシリンダーを燃焼させないシステムが組み込まれています。
実車化されてはいませんでしたが、2006年に公開のアダム・サンドラー主演コメディ映画『Click』と2011年公開のヒュー・ジャックマン主演SF映画『Real Steel』の劇中でキャデラック・シックスティーンが登場します。
コンパクトカー並みの排気量で16気筒を作り出した・BRM・V16
BRM(ブリティッシュ・レーシング・モータース)は終戦直後から1970年代終盤まで活躍していたイギリスのレーシングチームで、BRM・V16は1951年にF1デビューしたフォーミュラーカーです。
当時、レギュレーションでは1.5リッタースーパーチャージャーまたは4.5リッター自然吸気のエンジンの搭載が許されており、BRMは1.5リッターという排気量でV16気筒スーパーチャージャーエンジンを開発し、F1に参戦していました。
一つのシリンダーが93ccしか排気量がなく、それがV型となって16個あるのですから、コンパクトカー並みの排気量なのにエンジン単体は相当大きなものでした。
フェラーリやアルファロメオといったライバルはV8エンジンだったため、V8をダウンサイジングしたものが2基並んで載っかているようなもの。
パワーはライバルよりパワーは出ていましたがトラブルが多く、1954年にレギュレーション改正で過給機付きエンジンで750cc、自然吸気エンジンで2.5リッターまでとなり、BRM・V16は勝利できないままF1参戦を終えました。
ブガッティを最後に16気筒は無くなる?
現状、16気筒エンジンを作っているのはデヴェル社のみ。
デヴェル社は、中東の大富豪から要望を受けてクルマを作るため、V16気筒エンジンを今後も作り続けるか微妙なところ。
ブガッティはヴェイロンとシロンにW16気筒エンジンを搭載してきましたが、フォルクスワーゲン傘下だけあって「新型モデルにW16エンジンは搭載しない」と断言しており、今後は電動化するとしています。
既にスーパーカーも動力源をHVやPHV、ピュアEVへシフトしているため、16気筒エンジンは今後無くなる可能性があります。
クルマ好きとしては寂しい気もしまうが、16気筒エンジンのパワーを超える刺激的な電気自動車も登場しています。クロアチアのEVメーカー・リマックでは1,914馬力を発揮し最高速度412km/hにも達する「リマック・C_Two」を開発。
EVでここまでの性能に達すれば、16気筒エンジンは今までのスーパーカーを作り上げてきたレガシー(遺産)になるのかもしれません。