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アルファロメオが作った宇宙船!? しかも1950年代製造ってマジ!

おしゃれな外観、スポーティーな走り、そしてアイコニックな「トライローブ」と呼ばれる盾型グリル。そうしたイメージで知られているのが、イタリアが誇る高級車メーカー「アルファロメオ」です。

その歴史の中に、とんでもなく個性的なコンセプトカーが存在したことをご存知でしょうか。生まれは1950年代にもかかわらず、今見てもフューチャリスティックな外観は必見です。

 

とにかく空力を高めたら、羽が生えて宇宙船になった!?

アルファロメオ BAT5 BAT7 BAT9d

Ron Kimball  (C) 2020 RM Sothebys

B.A.T.シリーズはB.A.T.5(黒)、B.A.T.7(青)、B.A.T.9(銀)の3作から成り立っており、その名は「Berlina Aerodinamica Tecnica」というイタリア語の頭文字に由来します。Berlinaは屋根のあるセダン、Aerodinamicaは空気力学、Tecnicaは技術という意味。つまり、「空気力学を追求した屋根のあるセダン」ということです。

 

B.A.T.シリーズをデザインしたのは、第二次世界大戦前に大学で航空宇宙工学を学んでいたカーデザイナーのフランコ・スカリオーネさん。一見すると羽が生えた宇宙船のような奇抜さが目に付きますが、実はこれプロがとにかく空力を求めた結果生まれた形状だったのです。

 

当時の設計はすべて手作業。コンピューターによるシミュレーションだってできません。それでも、後年に実施された風洞実験ではトヨタ「プリウス」に匹敵する空力性能が証明されたほどです。当時の職人的な技術力の高さをうかがわせます。

 

宇宙への憧れが生まれた1950年代

アルファロメオ BAT9d

Darin Schnabel (C) 2020 RM Sothebys

実は、BATシリーズのこうしたスタイリングは時代背景を反映したものともいえます。1950年代はまさに人類の目が宇宙へと向き始めた時代。ソ連によって世界初の人工衛星が1957年に打ち上げられたことを皮切りに、1970年代まで続くアメリカとソ連による宇宙開発競争は熾烈を極めて行きました。

 

そんな宇宙への憧れを多少なりとも反映したのか、必然的にロケットに近い流線型を取ったのか、真実は分かりませんが、見る者に未来を感じさせたことは確かです。2020年に生きる筆者でさえ、そのボディには宇宙を感じたのですから。

 

B.A.Tシリーズはなんと公道走行可能!

アルファロメオ BAT9d

Ron Kimball (C) 2020 RM Sothebys

B.A.T.シリーズはただのコンセプトカーにとどまりません。なんと、シリーズ3作とも公道走行が可能になっているんです。

一番わかりやすいのが、シリーズ最後発となるB.A.T.9。方向指示器やストップランプはもちろんのこと、片側のみですがサイドミラーの設置を確認できますし、レザー張りのシートをはじめとした快適な車内空間が確保されており、そのまま市販できそうなほどです。

 

アルファロメオ BAT9d

Darin Schnabel (C) 2020 RM Sothebys

現代のコンセプトカーは機密情報の保持という観点から、モーターショーでのお披露目後は廃棄されたり、博物館に所蔵されることが大半です。

しかし当時のコンセプトカーは販売されることも多く、B.A.Tシリーズも例に漏れず個人の手に渡りました。例えば、B.A.T9は医学部の学生が通学のために使っていたとか……!「バットモービルのあいつ」と学内でウワサになっていたかもしれませんね。

 

オークションでの落札価格はなんと15億円!

アルファロメオ BAT5 BAT7 BAT9d

Ron Kimball (C) 2020 RM Sothebys

そんな歴史をもつB.A.Tシリーズが2020年10月28日、なんと3台まとめて世界最古のオークション「RMサザビーズ」に突如出品されました。

入札競争は激烈を極め、最終落札価格は1,484万ドル、日本円にして約15億円に到達。さすが激レアコンセプトカー3台セットといえる結果です。デザインだけでなく、お値段も人々に強烈な印象を残すクルマとして歴史に刻まれた瞬間でした。とても庶民には手が出ませんが、夢のある話ですね。

RMサザビーズ

公式サイト

じゃこ

元バイクメーカー勤務で現職エンジニアのバックパッカーです。国内外の旅行先でツーリングするのが好き。最低限の仕事をしながら旅していた世捨て人。