「この車は作られた時からずっと知っていたけど、今の今まで乗ったことはなかったよ。いやあ、すごいね!加速、レスポンス、そして人を感動させる強い力……。こいつはとんでもなくパワフルなミウラだよ。レストアは大成功だね!またテストドライブが必要なら僕はいつでも歓迎だよ」
実際にこの車両のテストドライバーを務めたランボルギーニ勤務のValentino Balboni氏の言葉です。
果たしてどんな名車なのか、どんな背景を持っているのか、さっそくズームインしてみましょう。
1968 Lamborghini Miura P400S Millechiodi
ミラノの大成功ビジネスマンであるWalter Ronchi氏は、かつてランボルギーニのオリジナルイオタを販売していましたが、1972年の売却後イオタは高速テスト走行中に横転して炎上。
Walter氏は、かつての名車の代替品を求めてMiura P400Sをイオタインスパイアにカスタムして欲しい、とイタリアのサンターガタの業者に依頼し、その結果生まれたのがこの「Millechiodi」です。
長きにわたるレストア人生
338台生産されたうちの1台であるこのミウラP400Sは1969年11月17日に、トリノに住まう最初のオーナーの手に渡り、その2年後の1971年4月21日に同じくトリノ内に住むMaddalena Camoli氏に売却されました。
しかしCamoli氏とミウラの縁はさほど深くはなかったのか、1972年の5月19日にはアルバに住むArmando Borra氏に売却。その後も転々と移り、6人目のオーナーGiovanni Sotgiu氏の手に渡ったとき、この車の運命がまたゆっくりと動き始めました。
Giovanni Sotgiu氏はミラノのBMW車のディーラーを務めていて、のちにこの車を大改造することになるWalter Ronchi氏とはよく一緒に車を買いに行く友達だったそうです。どんな友達だよって。
彼らはランボルギーニ公認のエージェントであるAchilli Motorsから非公式で協力を受け、イタリア人のF1整備士と、元レーサーFranco Galli氏とともにミウラP400Sをイオタインスパイアのホットロッドカスタムに大変身させたのでは、と推測されています。
改修費にかかった価格は4,500,000トルコリラ。当時の日本円に換算するとおよそ7億8000万円です。
さらに2015年には320,000USドル(約3400万円)をかけて完全レストア処理を施され、現行でやんちゃに爆走できるほどになりました。かつての伝説が様々な人の手と莫大なお金によって今もエンジンを震わせられるのは、なんとも感慨深いストーリーですね。
気になる落札価格は…未公開!?
さて、ここまでひっぱりにひっぱったミウラの気になるお値段なのですが…… どうやら価格は入札希望者のみにしか公開されないそうです。そして落札される価格は未だに不明でおそらく公開もされないだろう、とのことです……。
しかし、一般的(?)なミウラの落札価格が1億円強であることと、今までのファクトリーレストアを鑑みると1億円後半から2億円に上るのではないかと予想されます。
ランボルギーニ史上でも有数の幻のマシンならではの価格ですが、現行の数量限定モデルはさらに上を行くので、さほど腰を抜かすような金額でもなさそうですね。
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