前衛建築家のミース・ファンデルローエか、もしくは美術理論家のヴァールブルク(諸説ありますが)が残したとされる言葉で「神は細部に宿る」という言葉がありますが、このパガーニ「ウアイラBC」(以下ウアイラBC)は、まさにそれを具象化した1台と言えるでしょう。
パガーニ・アウトモビリが発表したスペシャルモデル

左がオラチオ・パガーニ氏。かつてはランボルギーニ社のデザイナーであった。アルゼンチン出身
パガーニ「ウアイラBC」とは、2016年3月1日から開催されていた世界最大級のモーターショー「ジュネーブモーターショー2016」。そこでイタリアの自動車メーカーであるパガーニ・アウトモビリが発表したスペシャルモデルです。
代表のオラチオ・パガーニ氏が立ち上げたこのスーパーカーメーカーは、顧客のワガママに限りなく100%応えるクルマづくりをしているので、納車には数年かかり、そのプライスに億以下はなく、同じ仕様のクルマは2台と存在しません。日本にも数台、「パガーニ・ウアイラ」と以前のモデルである「パガーニ・ゾンダ」が輸入されており、日本のスーパーカー・ファンの間でも絶大なる人気を誇るスーパーカーメーカーです。
公道走行モデルとして発表された「ウアイラBC」
さて、話は主役の「ウアイラBC」に戻します。ベースになったパガーニ「ウアイラ」は、AMG製6.0LV12ツインターボエンジンに7速シーケンシャル2ペダルMTを搭載。ボディの前後部には、まるで戦闘機のような合計4枚の可変フラップがあり、ドライバーの操作に合わせて独立可動します。また、従来に比べ4割の軽量化を実現し、1,218kgという驚異のライトウェイト化に成功しています。
なお「ウアイラBC」は、正規発表前のティーザーイメージからポイントの一つである、大型リアウィングとレーシングカーと同様のカナードを装着したレーシングカーモデルかと思われていましたが、まさかの公道走行モデルとして発表されました。
ちなみに、1218kgは、筆者の愛車「インプレッサWRX typeR STIバージョンV」よりも42kg軽いというから驚き! この走る芸術作品は、0-60mph加速を3.0秒、最高速は350km/h以上というから、これまた驚き!
最上級のマテリアルを惜しみなく使ったインテリア
インテリアは、アルカンターラやカーボンなど、パガーニが厳選した最上級のマテリアルを惜しみなく使い、これまた最高の職人の手によって丁寧に作られています。冒頭にいった「神は細部に宿る」といった理由の一つとして、インテリアだけではなく、全ての組み立てが、職人の手によってひとつひとつ丁寧に行われているのです。
ちなみに、車名の”BC”は、スーパーカー・コレクターのベニー・ケイオラ氏(2010年3月に逝去)の頭文字(Benny Caiola)が由来となっています。ベニー氏とパガーニの関係は、米国でも指折りのフェラーリコレクターだったベニー氏が2000年当時、正規輸入ルートを持っていなかったパガーニ社の当時のモデルである、ゾンタに出会い、その感謝の手紙(1,000ドルの小切手付き)から深い繋がりを持ったと言われています。
ウアイラBCはすでに20人の”家族”に預けることが決定

パガーニ・ウアイラBCのテストチームの集合写真
「ウアイラBC」は、限定20台で販売されるということがアナウンスされていますが、既にオラチオ・パガーニ氏が、認めた20人「家族(パガーニのオーナーを「ファミリー」という言うことから)」に預けることが決定しています。その20台すべてが、個々に特徴があるオンリーワンと思っていいでしょう。
果たして、このウアイラBCが日本で見ることができるのか気になるところです。日本では、永田町にある「ビンゴ・スポーツ」でパガーニと正規のコンタクトを取ることが可能です(現在、ウアイラの日本第1号車が販売されています)。参考までに価格は2億8,000万円前後になるとのことです。
最後にウアイラBCのブランドムービーとオフィシャルフォトで締めます(フルスクリーン推奨)。
参考 – PAGANI、Youtube : The Pagani Huayra BC – YouTube