ビルダーの創意工夫の結晶であるカスタムバイク。ビルダーの主張を色濃く反映した驚くようなカスタムも良いですが、ベース車本来のカッコよさをさらに引き立てたカスタムもまた乙なもの。元のデザインへのリスペクトを感じるようで、見ていて清々しい気持ちになります。
今回ご紹介する「DA15」と名付けられたバイクもそんな一台です。手掛けたのは独創性の高いカフェレーサー作りで知られるドイツの「Diamond Atelier」。もはや芸術作品といっても過言ではない彼らのボディワークを見ていきましょう。
スーパーバイク並のスペックを誇るドゥカティのネイキッド

ドゥカティ「モンスター1200R」(2017)
ベースとなったのは、ドゥカティの「モンスター1200R」です。ネイキッドスポーツである「モンスター」シリーズの最大排気量かつ最高峰のモデル。メーカー自らが”究極”と称していただけあり、スーパーバイク並みの性能を与えられています。
使用されたのはユーロ4対応により若干パワーの押さえられた2017年型ですが、それでもエンジンは最高出力152psを発揮。その上、高性能なオーリンズのサスペンション、そしてブレンボのブレーキで足回りを固めた過激なマシンです。
現在ではその役割をパニガーレV4のネイキッドバージョン「ストリートファイターV4」に譲り渡し、ラインアップから姿を消してしまいましたが、マルチスポーツベースという素性から、今なお色褪せない魅力を放っています。
細部までこだわり抜いた最高のモンスター
そんなモンスター1200RもDiamond Atelierの手にかかれば、さらなる美しさを放つようになります。もともとイタリアンデザインとしてよく完成されていましたが、ミニマルに仕上げられたDA15のミニマルなカッコよさといったら……。
まずカラーリングからして純正ではまず難しい豪華な仕様となっています。ブラックもしくはレッドだったフレームはきらびやかなゴールドに。しかもただのメッキというわけではなくきちんと24Kを使用した本格派です。その輝きを引き立てるように、タンクやテール等にはシックなオリーブグリーンをペイント。まさに大人のバイクといった雰囲気です。
そしてもっとも目を引くのはやはり、リアセクション。さらにシートフレームの主張を強めたショートテールとすることで、色気をアップさせています。もちろん、この部分はDiamond Atelierによるオリジナル。CADソフトで設計を行い、3Dプリントで制作というハイテク工程をとっています。ドゥカティの象徴ともいえるトレリスフレームと合わせてもまったく違和感のない仕上がりですね。
「素晴らしいバイクをさらによくしたい」というビルダーの思いを反映するかのように、純正パーツがかなり残されているのもポイント。モンスターの象徴ともいえるタンクに、フロントフェンダーやヘッドライトなど、細かな仕上げで手は加えられていますが、形状はそのままです。
さらに完成度を上げているのが、細かなパーツチョイス。ハイエンドパーツで知られる「moto gadget」の極小ウインカー&テールライトに、アルミ削り出しパーツで人気を集める「Rizoma」のリザーバータンクやエンジンカバーなど、細部までこだわり抜いています。そのセンスのいい配置といったら……ビルダーの高いセンスがうかがえるようです。
モンスター1200Rへの愛をひしひしと感じる今回のビルド。残念なことにすでに売却済みとなっていますが、Diamond Atelierはカスタムマシンの販売も行っているので、彼らの作品を日本で走らせることもいつかできるかも。ホームページの更新は要チェックです。