ロケットでも魚雷でもない!? 電動バイクFuller Moto「2029」はカスタムの新時代を開く

1988年に公開された「AKIRA」という映画で、金田のバイクという未来感マシマシなバイクが登場しました。どんなジャンルにもとらわれないロー&ロングなデザインと、バチバチと電撃を迸らせるモーター駆動の迫力におじさんたちはワクワクドキドキしたものです。

 

現在でも金田のバイクのイメージは一つの未来デザインとして語り継がれていますが、それにも負けない独特な魅力を持つバイクがアメリカ、アトランタ州に拠点を置くFuller Motoから登場しました。その名も「2029」。まるでロケットか魚雷を美術品として仕立てたかのような外観の電動バイクです。

 

従来の製造工程とデザインへのチャレンジ

2029のデザインは、これまでのバイク製造やカスタム方法にとらわれない新しい試みによるものです。その要ともいえるのが、金属加工用3Dプリンターの使用。手作業では構成が難しい複雑かつ繊細な形状の部品を作り上げるべく、PC上でCADモデルを作り上げ、プリンターで成形したのです。ハンドメイドよりも圧倒的に高いデザインの自由度を獲得したことで、類を見ない形状を獲得しました。

 

そのひとつが、フロントスタビライザーアーム。一般的なバイクで見られない、ハブセンターステアリングというフロントにもスイングアームを持つ機構はbimotaが市販化していますが、こちらの部品形状はさらに独特。滑らかな曲線を描いたジョイントに剣のような形状のプレートと、チタンの質感も相まって美しさすら感じさせます。

 

プロジェクトにはスター・ウォーズのコンセプト・アート製作に携わったデザイナーも加わっており、クラフターとの間で未来派のイメージを実現するための活発な議論がなされたことは想像に難しくありません。

 

一方で、ロケット感を醸し出している密閉型のアルミボディはチップボードから基となるモデルを切り出し、金型を製作。CNCウォータージェットマシンなど最新の工作機械を使い、理想的な形状を作り上げました。

 

ホイール前に形作られたエラのような部分はれっきとしたディフューザー。抵抗を軽減する効果があり、2029の機能美を更にアップさせています。

ちなみにパワートレインはモタードタイプの「Zero FXS」という電動バイクから流用したもの。腰高なZeroからロー&ロングな2029に組み込むためには、そのままではモーターの位置が低すぎ、逆にバッテリーは高すぎバランスが取れない状態でした。そこで、2029ではシャーシを上下逆にすることで対応。バイクとしての安定性を確保しつつ、流用を成功させました。

要所要所でカスタムビルダーらしいハンドメイドな作業を行いつつ、CADや3Dプリンターを駆使して作り上げられた2029。これから先、ビルダーの自由な発想はこうしたツールによって開放されていくことでしょう

 

参考-fullermoto 2029