最近、パニガーレV4のSPが出ましたね。デスモセディチ・ストラダーレ90°V4の心臓を持ちつつ、ドゥカティの「Sport Production」名を冠したこのガチ仕様の猛者に敵うバイクはなかなか存在しないでしょう。
少し時期は前ですが、そこに待ったをかけるカスタムバイクがありました。「俺こそが最強のドゥカティだ」と言わんばかりにカスタムされた同じくガチ仕様のパニガーレを見ていきましょう。
Ducati Panigale 422Corse by Garnet Design
見るからに速そうな面持ちのパニガーレ。元々前傾姿勢のキツいドゥカティをさらに前へ傾けさせていますね。こちらのカスタムバイクを手掛けたのは、F1メカニックらが集うスイスのカスタムショップ「422Corse」と、彼らと仲良くつるむGANNET DESIGNのUlfert Janssen氏です。
GANNET DESIGNのUlfert氏は2年ほど前にforRideで取り上げたこちらの「CB1000Radical」を手掛けたスイスの名匠。元ルノー・デザイン部門の主要メンバーで、退職後もこうしてデザインとメカニックを生業としています。
2種類のドゥカティを融合
さてこのカスタムバイク、外装と中身(エンジン)はそれぞれ2種類のドゥカティ・バイクから移植したものですが、いったい何と何なのか皆さま予想できるでしょうか。
といっても、特に外装に関してはパニガーレ系であればすべて見た目はほぼ一緒なので、具体的にどれと当てるのは人間業ではないのですが……
焦らしても仕方ありませんので答え合わせと行きましょう。外装は1299スーパーレッジェーラ、中身は2015年型パニガーレRとなっています。なんでわざわざパニガーレRのエンジン?と思われる方もいるでしょう。
確かに1299スーパーレッジェーラのエンジンの方が排気量が多い分、馬力もトルクも5%ほど上です。つよつよマシンを作るならばわざわざエンジンを変える理由は……?となってしまいます。
しかし「速いバイク」とは別に馬力があればいい、というわけではありません。重心バランスと軽量さ、そしてそれに見合ったエンジンでなければ最良のパフォーマンスは見込めないのです。
この422Corseはフレーム、フェンダーそしてスイングアームなどがすべてカーボンファイバー製にカスタムされています。フロントフォークさえもがCeraCarbonの高耐久軽量フォークに換装され、極限まで重量を抑えているのです。
スーパーレッジェーラのショックアブゾーバーをカスタムメイドのチタン製ショックアブゾーバーと取り換え、そこでも200gほど減量。小さな変化ですがやはり「ちりつも」。その甲斐あってか最終的な乾燥重量は165㎏、パニガーレV4より10㎏も軽くなりました。出力はほぼ同じながらも、最大トルクは10%ほど上回っています。
カーボンシリコン製のブレーキディスクは軽量ながらに制動性にも優れています。ブレンボ製P32 / 36ブレーキキャリパーを保護するカバーは従来品にはついていないカスタムですね。ホイールももちろんカーボンファイバー。
地道な塗装作業でワクワク
この美しいフェアリング塗装はなんと手作業。シルバーとマットブラックによるリッチなモノトーンはArctos CollectionというUlfert氏が共同で立ち上げたカスタムショップのイメージカラー。
熟練の手によって美しく仕上げられていきます。このテープを最後ピロピロっと捲るのが最高に気持ちいいんですよね。
こうして出来上がったのが内外共に洗練されたこの「パニガーレ422Corse」なのです。見事な腕前、もはや走る芸術品ですね。レースのない日はガラス張りのガレージで静かに次のサーキットを待つ姿を眺めていたいですね……。