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【まとめ】ノートンの倒産騒動について詳しく調べてみた

【まとめ】ノートンの倒産騒動について詳しく調べてみた

ざわざわと広がる「ノートン(Norton)って倒産したらしいぜ」という噂。でも、実際に倒産したのか?何が原因でそんなことになってるんだ?という疑問に対して、あまり明瞭な答えが探しても出てこないですよね。

今回は、騒動から少し時間が経ってようやく情報の確度が高まったので、ノートン倒産騒動についてまとめてみました。また、今更なのでノートン社そのものについてはあまり深堀いたしません。

 

結論:ノートンの財政はボロボロ、倒産と同義の状態に

【まとめ】ノートンの倒産騒動について詳しく調べてみた

ノートン社は、イギリスの歳入関税庁(HMRC)からの研究開発(R&D)減税に関しての清算申し立てを受け、裁判所から正式に30万ポンド(=約4,300万円)の未納税分を納めるように判決を下されたことが2020年1月に明らかになりました。

 

2019年4月に提出された2018年3月末の報告書で、ノートン社CEOのスチュアート・ガーナー氏は、

「新しいエンジンプラットフォームと、V4および650㏄モデルのエンジン開発に注力した結果、この3年間で無形資産が著しく成長した」

と述べていましたが、これに対してHSKS Greenhalgh会計事務所による監査報告書では、

「ノートン社の経営継続に関連する重大な不確実性あり」

「今期売上高の報告書に疑義がある」

「過去数年間の開発費と政府補助金に誤った報告」

と指摘されています。

 

つまり、「開発と経営は上手くいっている」と言っていたにもかかわらず、本当は真っ赤な火の車状態で、未納税分を納める能力はないという状態でした。

 

英国において「管理者任命=倒産」

結果として、ノートン社は支払い能力に欠けると判断したイギリスの銀行Metro Bankは、世界5大会計事務所のひとつであるBDOをノートン社の管理者として任命しました。

 

【まとめ】ノートンの倒産騒動について詳しく調べてみた

英国における「管理」とは、米国における「倒産」と同義です。任命された管理者が会社の代表取締役を交代させることで、

  1. 会社の債権者を救済するために最善の策を模索する
  2. 上記を遂行することで、債権者による法的措置から会社を保護する

という、債務者と会社それぞれに対するダブル救済措置でもあります。

 

企業の今後の事業計画を見直すことで売り上げを伸ばし返済するか、それとも企業を分割し資産を売却し返済に充てるかは、任命された管理者に託されます。また、ガーナー氏の持つ事業のふたつ、ドニントンホールエステートとプリーストハウスホテルも現在、BDOによって運営されています。

 

結構ブラックなことをしていたガーナーCEO

【まとめ】ノートンの倒産騒動について詳しく調べてみた

さて、今回の騒動は世間的には「売上を誇張した詐欺」と罵られる事態となりましたが、なんと今回の問題を引き起こしたガーナー氏はさらにいろいろブラックなことをしていたことが発覚していきます。

中でも代表的なものを以下にまとめます。

  • 購入したにもかかわらずバイクが届かない、という購入者が法的措置を講じる。
  • パーツの供給不足でアフターケアが低クオリティと嘆くカスタマーも多数。
  • マン島TTでノートンと契約を結んだジョン・マクギネス氏は、2020年のレース契約についてガーナー氏と連絡がつかなくなったと告白。
  • ガーナー氏がディレクターを務めるManocrest社による年金基金が、受給条件満了者228名に対して未払い。
  • 世界各地のディーラーは今後のパーツ供給についてなにも連絡がなく、カスタマーサポートに苦悩。

また、ガーナー氏の資金調達方法に対し、BDOは「資産家と債権者からの将来的な財政支援に依存している」と警告していました。かつてエンジン開発のために100万ポンド(約1億4,200万円)のクラウドファンディングを実施しましたが、個人投資家のみが関心を示したと同社が報告したため、資金調達は中止となりました。

 

対応に追われるBDO、タスクと清算が山積み

【まとめ】ノートンの倒産騒動について詳しく調べてみた

各方面に波紋を広げたノートンの管理を務めるBDOですが、課題は山積みです。

まず、代表的な問題である30万ポンドの未納税を清算したのちに、キャッスルドニントンに新設した工場で働く約100人の雇用保障、世界各地のディーラー(サプライヤー)に対するサポート、ガーナー氏が他に手掛けたビジネスの不始末の尻ぬぐい等々…… すべてを完遂したのち、果たしてノートンは搾りかすのようになってしまうのでしょうか。

 

今後、新規モデルの販売や各イベントでのプロモーションなどは著しく減速するのではないかと推測されます。ハーレーと同じく100年以上も続いたバイクメーカーが死に瀕しているのは、なんとも心が痛みます。

Writer: ZANGE

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