車やモーターサイクルを載る人は「白バイ」にたいしてどういう感情をお持ちだろうか?
おそらく「別に特別な気持ちはない」人たちが多いだろう。ただなかには「嫌っている」人もいるだろう。いずれにせよ、その存在は現代の交通社会のなかでは必要不可欠なものである。特に日本一の大都会を抱え交通量でも圧倒的多さの東京ではその機動力からあたりまえの存在として位置している。
彼らの腕前は、昔からライダーやドライバーのあいだで色々言われてきた。「やっぱり上手い」とか「税金使って練習してるからあたりまえ」などと皮肉る声まで様々だが、当然のようにマシンを操るテクニックは上手い。
警視庁の白バイ訓練所がたまたま筆者の住まいの近くにあり、20数年間新人教育や白バイ全国大会の出場候補ライダーの練習を見てきたが、結構迫力があり失礼ながら見ていておもしろい。
ちょっと勘違いしそうだが、ハイスピードな訓練はあまりしていない。それよりも超低速でUターンしたりトライアル競技なみの低速でマシンを操ることに重点を置いているように感じる。また交差点での緊急通行での通過やタイヤをロックさせずにいかに短い距離で停止するか、など。
彼らの舞台は一般市街地がそのほとんどで、あらゆる車両があらゆる方向に向かって走行しているから高速走行はさして大きな比重は占めないらしい。おもしろいのは高速専門の高速隊の白バイでも全く同じ練習をする。ただ速やかな加速や高速にも対応できるようCB1300Pが採用されているが総重量は約300kgもある。
白バイに限らずモーターサイクルを操るうえで、もっとも大事でテクニックの上達に欠かせないのはマシンが自身の体の一部みたいになることで、ロードレース、モトクロス、トライアルなどのプロレーサーは皆これに長けてるはずである。
当然、白バイのライダーも究極のテクニックを身につけるためマシンとの一体化を目指す。それによりスピードに関係なくあらゆる走行が可能となる。
白バイ隊員は皆モーターサイクルが大好きな人たちでもある。そして、彼らの主な仕事は、違反者を停止させ安全運転を自覚してもらうことの他に無謀運転を速やかに阻止したりすることもある。
ただ、大好きなモーターサイクルを載っていても警察官という肩書きが本人たちに大きなプレッシャーとしてつながっていることは否定できない。そのため人間性も追求されることもあるだろう。ただ彼らの技術は確かなものであることは間違いない。
「ストリート」というサーキットを舞台に活動するプロフェッショナルライダー、それが白バイなんだろう。