昨年11月にアニメ化決定との発表から約半年。「スーパーカブ」のティザービジュアルとPV第1弾、さらに公式サイトが5/8に公開されました。
放映日程はまだ明らかにされていないのですが、より深く楽しむべくアニメ前に物語を予習してみましょう。
「スーパーカブ」とは?
もともとはカクヨムでの投稿連載からはじまったトネ・コーケン氏原作のライトノベルです。そこから人気を博し、書籍化、コミック化、そして今回のアニメ化にまで発展しました。
どんな物語なのか、公式ページおよびPVでの文言を借りて、ネタバレしない範囲で紹介してみると・・・・・・
ひとりぼっちの女の子と、世界で最も優れたバイクが紡ぐ、友情の物語。
両親も友達も趣味も無い、何も無い日々を過ごす彼女だが、ふと見かけた中古のスーパーカブを買ったことで、ちょっとずつ短調な毎日が変わり始める。
バイクの数だけ物語がある。
これからはじまる彼女の青春もそのうちのひとつ。
何も無い少女と、ありふれたカブが紡ぐ・・・・・・100000000分の1の物語。
といった感じで、筋書きそのものは乗り物絡みの物語としてはありきたりとも言えるかもしれません。
しかしながら、バイクに興味のない / これからバイクに接していく若年層から、「ラノベ?(笑)」なんてオジサン世代まで、小説・コミック・アニメとメディアは問わず、ぜひ一度触れてみてほしい作品です。筆者の感じた見どころ読みどころをご紹介します。
等身大のリアル
ラノベというと、最近では異世界・転生・魔法といったものが主流で、装丁もモノによっては分別あるオジサンにはレジに持っていくのに腰が引けるようなものも数多あります(笑)。この作品に関してはそういったものとは無縁で、誰しもが過去に経験したことのある、これから経験するかもしれないといった、日常の出来事から成り立っています。
人物・心理・場面といった描写も難解な比喩表現や言い回しは少なめで、誰にでもテンポよく読めるであろうところは、ライトノベルならではといったところでしょうか?
主人公の名前だけは、女の子にそりゃないだろうという感じ(笑)ですが、解る人には解るはずです。
描写のリアル
これもまたバイクをはじめ、身の周りのものにも、突飛で不思議な機能があったりしませんし、強引な恋愛フラグもありません。現実に存在し得るもの、あり得ることについて比較的淡々とドライかつ明確に語られます。
ただ、原作にあったそれらの解説的な細かい描写の多く、例えばレトルト食品と弁当箱のエピソード等は、コミック版ではページ数と画と話の流れ上ばっさりカットせざるを得なかった部分も。もっともコミック版はそういったところが、また別のいい味や小気味いい展開に昇華されています。絵が動き、音声という表現も使えるアニメではどうなるのか楽しみです。
原作者のペンネーム、トネ・コーケン(※)でニヤリとできるような人には、マニアックになりすぎない程度に楽しめる場面も多数ありますよ。
※苗字?名前?ともに国産ハンドツールのトップメーカー
追憶または追体験
等身大のリアルとして既に述べましたが、それだけに読む人それぞれが現在の立ち位置から、過去を振り返って甘酸っぱい気持ちになったり、無理とは思えない未来を重ねてうずうずしたり。登場人物と横並びの当事者感覚で読み進めていけることも「スーパーカブ」の魅力です。はじめて動力付きの乗り物に乗ってみたとき、所有したとき、新たな楽しみ、様々なトラブル、それをどう解決するか / したか、それらに関わってくる様々な人達・・・・・・
既に人生の分岐路が限りなく一本道になりつつあるオジサンにとって、既刊のバイク小説の大半が「こうだったらよかったなぁ」という夢物語のカタログだとしたら、本作品は過去の自分の日記帳のようなものなのかもしれません。
© Tone Koken,hiro/ベアモータース