【プリロード】サスセッティング、まずはここから!【サグ出し】

スーパースポーツ系をはじめ、オンオフ問わず走りの良さを売りにしたバイクでは、さまざまな調整が可能なフルアジャスタブルのサスペンションを装備していることも珍しくありません。

 

とはいえせっかくこれだけのものが用意されているのに、全く有効に使えていないのでは?という、忸怩たる思いをしている人も多いのではないでしょうか。

 

まずは知識がないとサスセッティングを覚えていくことも難しいのは確か。

そこで基礎としての各部呼称と主な役割、その上で「まずはここから!」といったところをご紹介します。

 

車高

まずは車体各部の動きを理解しましょう。車高はスタティック(静止状態)での車両の基本姿勢を決めるものです。

中古で購入した場合やあちこち弄りすぎて収拾がつかなくなったときは、まずは標準値に戻してみましょう。

 

取付長(その他)

SR400 SR500 リアサスペンション メッキ ショート リアショック 265mm ローダウン ショートサス

フロントとリアで調整方法が異なります。一般的なテレスコピック式フロントサスペンションの場合はフォークの(トップブリッジからの)突き出し量、リアサスペンションは稀に純正で調整機構を持っている場合を除けば、主に社外ユニットにリプレイスする場合等にショックユニットの全長で調整します。

ルーク(LUKE) ローダウンリンクロッド セロー250/トリッカー XT250X 25mmD LK-6211

リアサスがリンク式の場合は、リンクアームの長さを変えることによって、リアの車高を上下させることもできます。

 

プリロード

イニシャルアジャスター14mm 青 全5色 FZ-1 YZF-R1/R6 MT-09 XSR900 XJR1300 ZX-14R/10R/6R ZRX1200/DAEG GSX-R1000 デイトナ675

プリ(前もって)ロード(荷重)の名のとおり、あらかじめバネを縮めて荷重をかけておくことにより、それ以上の力が加わるまではバネが縮みはじめないことにより、停止状態でのサスの沈み込み量を決めるものです。

これを適切に設定することにより、底づきや伸び切り等することなく、ダンパー機構が伸び側縮み側とも有効に働く位置となります。

 

バネレート

ストローク量と車高の変化に影響しますが、バネ交換をしない限りは考慮しなくてもよいでしょう。

 

減衰

サスペンションが衝撃や荷重変化を受けた場合の、伸び縮みの速度を調整できます。

車高の項で述べたのと同様に、中古購入や迷宮入りしたらまずは標準セットに戻してみましょう。

その際は劣化による性能低下も考慮に入れておかないと、さらに迷走しかねませんので注意が必要です。

 

伸び側

OHLINS(オーリンズ) リアサスペンション S46DR1S Z1000[ZRT00D](10-12) NINJA1000[Z1000SX](11-12) KA010

サスペンションが伸びていく方向での速度を調整します。

 

縮み(圧)側

OHLINS(オーリンズ) フロントフォーク FGRT200 ゴールド FG R&T NIX ZX-10R(11-12) FGRT201

サスが縮んでいく方向での速度を調整します。

上級モデルの純正品や社外高級品の場合は、低速(荷重移動によるゆっくりした動き)側と高速(ギャップ等を踏んだ場合の速い動き)側と、それぞれ分けて調整できるようになっています。そのおかげで荷重移動時はしっかり動きを抑えながら、ギャップを踏んだ時には瞬間的に動いて衝撃を受け流すといった一見矛盾した調整も可能になっています。

 

コーナリング中のサスの動き

各部の動きを理解したところで、今度はコーナリングにおけるサスペンションの動きを見てみましょう。

 

ブレーキング

ブレーキをかけることによりフロントが沈み込み、リアが浮いてきます。

 

一次旋回

ブレーキをやや緩めながら倒し込んでいくことで、フロントが少し戻ってリアは落ち着きます。スロットルは全閉〜パーシャルでフロントに荷重がのったまま旋回していきます。

 

二次旋回

クリッピングポイント(カーブを曲がる際、最も内側による位置)を過ぎてスロットルを開けはじめると、フロントからリアに荷重が移り、フロントが伸びてリアが沈み始めます。

 

脱出・加速

スロットルを大きく開けると、フロントフォークは伸び切り、完全にリア荷重になって加速していきます。

 

こうした理想的なコーナリングをするには、サスペンション各部の一連の動きがスムーズに繋がることが重要です。

そこで、底づき、跳ね気味、滑り気味、動きが速すぎ / 遅すぎといった事象があった場合に、前項であげた各部の調整機構により、不具合を軽減していくのがサスペンションのセッティングです。

 

とはいうものの

一部界隈では「違いのわからない男」として名を馳せる筆者でありますので、正直なところどうなれば良いのか頭で理解はしていても、実際1クリック1ノッチ1目盛りの違いを乗ってみて、違いが判るか / どちらが良いかといわれれば、全くわかりません(笑)

特定の一か所やコースに限定して、タイムを計測しながらトライ&エラーを繰り返すならばまだしも、公道での全てのシチュエーションへの対応に加えて、ライダー / 車両の各々の好みやクセまで考えると尚更です。

加えて純正の調整機構の場合は、極振りしても危険なレベルにはならない範囲に設定してあるとも聞きます。

 

そこで基本は標準値なのはもちろんですが、比較的明確に各々にむけたセッティング値を求めることができる、「まずはここから!」という部分をご紹介します。

 

まずはここから! プリロード(サグ出し)

上の各機構のプリロードの役割のところで、「あらかじめ荷重をかけることにより沈み込み量を設定し、減衰機構がもっとも有効に働ける位置を決める」といった旨を書いたつもりです。

こればかりは標準値にしてしまうと、メーカーの想定している乗り手の体格や用途にあわせた設定値になってしまいます。特に欧米向けの逆輸入車等での乗り手の体格であったり二人乗り時の底づきからの危険を避ける等の想定により、多くの日本人ライダーがソロで乗るには過大な設定なのです。ギャップ等で突き上げがキツかったり、跳ねてしまってスロットルを開けにくくなってしまう場合も多いんです。

 

最適なプリロードの目安を得るには、まず車両のホイールトラベル量サスが最も縮んだ状態から最も伸びた状態までのホイールの移動量)を知ることが必要となり、通常該当車両のサービスマニュアルには必ず記載があります。

 

具体的な測定方法と調整

ホイールトラベル量を実車から測定するのは難しいので、サービスマニュアルを参照できない場合は、ネットでそれを記述している記事を探したり、販売店等で聞いておくと良いでしょう。

 

次に該当の車両を水平な地面で、できるだけ垂直を保ちながら地面から車輪が浮くようにジャッキアップするか、メンテナンススタンドをかけるかします。その時のアクスル中心から車体の特定部位の距離を測定した値を0G値とします。

それから、スタンド等をかけずに車両を垂直に保ったまま、直進時のライポジで対象ライダーが乗車して、アクスル中心から0G測定時と同じ車体の特定部位の距離を計測し、この値を1G’値とします。(ちなみに乗車していない状態での距離が1Gですが、ここでは不要です)

 

この「特定部位」には注意が必要。スイングアームやフォーク下端等の車輪に合わせて動く部分を使ってはいけません(笑)

なお、工夫次第で単独でも不可能ではありませんが、正確な測定と安全な作業のため、複数人数での作業を推奨します。

 

で、測定できた0G値から1G’値を引くことで、自分の乗車時の沈み込み量が算出できますので、この沈み込み量がホイールトラベル量の1/3くらいになるようにプリロードを調整すれば、自分に最適な沈み込み量になります。

 

この一連の作業を「サグ出し」(サグ=たるみ、たわみ)といいますが、あとはこれを基本に走り込みながら、各々の好みで必要な都度弄っていけばよいでしょう。

 

まとめ

真面目にサスセッティングに触れるには、記事ボリュームも筆者の知識経験とも足りないため、ごくごく入口のみを紹介してみました。

サーキットでタイムを出す等の場所と目的が明確な場合は別として、公道で楽しく走る上での100%の正解はまずもってあり得ないことだと思っています。

とはいえ、トライ&エラーの過程が楽しいんだという人もいるでしょうし、そんな面倒なことができるか!といった人もいるでしょう。

 

ちなみに筆者の場合、これまで乗った2台のYZF-R1もFZ1も、雑誌のセッティング特集での講師の能書きを信じて、テスター氏の体格も考慮しつつ、サグ出しからエア圧まで丸パクりのセッティングで乗っています。

とりあえず乗りにくいものを楽しいと感じてしまうこともある自分のセッティング能力をまるで信用していない / むしろ良くない方向に突っ走ってしまいそうなので、それで全く不満なしです(笑)

 

Kenn

Kenn

モノと生き物の境目が曖昧なちょっとイタい人。 バイク・クルマに限らず、作り手の情熱・魂の込もったモノに惹かれます。 DOS時代から名乗っているハンドルなので、某声優のほうが後発デスヨ