【平成の名車を振り返る】スズキ「隼(ハヤブサ)」は20世紀最速の市販公道モデルなのだ!

「時代は令和になったというのに、未だ平成を振り返っているのかっ!」であるとか「今注目はKATANAだよ!隼?読み方分かんねぇよ魚の名前だっけ?」なんていう声が聞こえてきそうですが、筆が進まず遅くなってしまいました…… 全国の鈴菌さん、ごめんなさい。

【平成の名車を振り返る】スズキ油冷エンジンには平成を生き抜いて欲しかったが……この秋復活するかも!?

前回の本企画では、車両ではなくエンジンに注目して、スズキが誇る油冷エンジン搭載車をササっとご紹介したのですけど……スズキが生んだ「平成の名車」といえば、鈴菌が何と言おうと、いや、誰が何と言おうと、それは「隼(ハヤブサ)」なのであります。

そこで今回は、スズキ広報さんからご提供いただいた貴重なお写真を掲載しつつ、同モデルを振り返ってみたいと思います。

 

初代「隼(ハヤブサ)」は1999年に登場!

コチラが貴重な初代、1999年モデルのスズキ「隼(ハヤブサ」。隼と言えばこのカラー!メタリックライトカッパーブラウン×メタリックエクルーシルバーが思い浮かびます。スズキ「隼(ハヤブサ)」あるいは「GSX1300R HAYABUSA」は、量産市販車として世界最速となる312km  /hを記録、世界のモーターサイクル史に名を残しています。「20世紀に市販された最速の公道モデル」の称号を得ているのであります。

 

開発コンセプトは”The Ultimate Sport”=究極のスポーツバイク。究極の一つが、この最高速度なわけです。この最高速度は世界中で話題になったものです。日本のバイク雑誌のみならず、海外の著名な四輪専門誌ですら、「隼(ハヤブサ)」をフェラーリやポルシェと並べて競争していたわけですから、その注目の度合いは凄まじかったのです。

 

モデル名の隼は猛禽類の頂点。そして300km / hで飛ぶことから、お名前を頂戴した、との逸話もあります。

 

自動車技術会の学生向け冊子”Motor Ring”No.30に掲載された記事のなかで、同社二輪技術本部の方は、こう書いています。

GSX1300R ハヤブサは、アルティメットスポーツ(公道における究極のスポーツバイク)というコンセプトを基本に開発した。スポーツバイクに求められる基本性能(走る・曲がる・止まる)を高めながら、特に

  1. クラス最大の出力
  2. 操縦安定性に優れたバランスの良い車体
  3. 優れた空力特性
  4. 扱いやすさ

を追求することにより、コンセプトの具現化を図った。

(中略)

エンジンはスーパーバイクレース用750ccエンジンをベースとして排気量を拡大し、各部をリファインしたものであり、レーシングエンジンなどで採用されている技術を集大成したものである。

当時は「GSX-R1000」がスズキのフラッグシップスポーツとされていましたが、その水冷直列4気筒エンジンは最高出力が111.8kW/10,000rpm、最大トルクが114.7Nm/9,000rpmでしたが、「隼(ハヤブサ)」のそれは、128.7kW / 9,800rpm、138.2Nm / 7,000rpmと、完全に凌駕していたのであります。

 

この強力なエンジンは「隼(ハヤブサ)」の最高速度達成の源であったわけですが、「隼(ハヤブサ)」が特別なモデルと言われるのは、その操縦安定性の高さ、優れた空力特性、そして扱いやすさにあります。アルミ製ツインスパーフレームは既存機種比で15%剛性をアップ。加速時と高速走行時の安定性向上のため、車体重量の前後輪分担比は前輪のウェイトを高めて51:49に設定。

 

「隼(ハヤブサ)」のもう一つのハイライトであるスタイリングと空力特性については…… ライディングポジションを犠牲にすることなく、ウィンドプロテクションと空気抵抗を同時に考慮し、これらを高い次元でバランスさせるために、過去に蓄積していた膨大なデータを反映させつつ、風洞実験を行ったそうです。そうして生み出されのが、この独特のスタイリングなのです。

 

こうして誕生した20世紀最速の公道モデルである「隼(ハヤブサ)」は、その最高速のみならず、その性能の(一部を)一般ライダーが充分に感じて楽しめる、稀有なモデルでもあったのであります。

 

「隼(ハヤブサ)」は2008年にモデルチェンジ!

申し分ない絶対性能と独特なスタイリングから話題を呼んだ「隼(ハヤブサ)」ですが、2008年、開発コンセプト”アルティメット スポーツ”を更新するべくモデルチェンジ。二代目が登場しました。

エンジンは初期型をベースとしつつ、81mmのボアはそのままにストロークを63mmから65mmへアップ。排気量は1,340ccへと拡大され、最高出力は145kW / 9,500rpmへと向上しています。ただし、排気量が増えたから最高出力が上がった、というワケではなくて、このモデルチェンジでは地道なリファインが施されていました。

 

シリンダーにはSCEM高速メッキ処理を施しつつ、シリンダースカート部をU字型としていました。これはピストン下降時のクランクケース内の圧縮空気を隣のシリンダー(ここのピストンは上昇中)に逃がしてポンピングロスを減らす工夫です。

 

そのピストンはアルミ鍛造製ですが、ピストンクラウンの形状を見直して高圧縮化。11.5から12.5へと、圧縮比を高めていました。ピストンピンは径が20mmから18mmへと小径化され、ピストンピン1個あたり5g軽量化していました。バルブも耐熱鋼からチタンへと材質を変更。これによりインテークバルブは1本あたり14.1g、エグゾーストバルブは11.7gと、大幅な軽量化を実現。

 

このように、運動往復部品の軽量化・ポンピングロスの軽減・摩擦係数の低減といった地道な改良によって、この高出力化が実現していたのであります。

電装系や車体、独特のフェアリングもリファインされていましたが……かなり長くなってきたので割愛いたします。

 

「隼(ハヤブサ)」国内モデルは生産が終了してしまったが……

日本の誇り!世界がリスペクトするスズキ「隼(ハヤブサ)」に新色が登場!

ところが大変残念なことに、このスズキが生み出した平成の名車「隼(ハヤブサ)」ですが、既に生産終了がアナウンスされています……。スズキがこのまま終売にするとは思いたくありませんが、どうしても新車で欲しい人はひとまず急ぎ購入してください!

もちろん次のモデル開発に期待しています。スズキさん、是非お願いしまっす!

 

参考-スズキ