数々のデモンストレーションムービーをYouTubeにアップしている、2010年ジュニアエンデューロ王者のポル・タレス選手の新作動画が公開されています。
大がかりかつ本格的なロケ撮影での、本格的な「短編映画」です。繰り出されるバイクアクションの数々に加えて背景となる大自然の雄大な美しさといったら……。
技術解説やお手本としてではなく、単純に観て楽しむための作りとなっていますので、バイクそのものにはそれほど興味はない人も必見ですよ!
これぞアドヴェンチャー!「THE SEEKER MOVIE」
見どころはなんといっても大柄なアドベンチャーモデルであるヤマハ「スーパーテネレ700」で繰り出すトリックの数々。これぞアドベンチャー!
「トリック」ライドとは書きましたが、CGや特撮を織り交ぜた演出ではなく、あくまで彼自身のスキルとテネレ700のポテンシャルの合わせ技により、見たままの光景が現実に繰り広げられた結果であるというところだけは間違ってはいけません!
「THE SEEKER」は直訳すれば「探索者」。道なき道を探索しつつ、マシンの限界を探るといったところでしょうか?
大型アドベンチャーモデルならではの、パワーにものをいわせた大迫力爆走シーンはまぁ当然のようにあるとして・・・・・・
アドベンチャーモデルとしては比較的軽量といえるテネレ700ではありますが、車両重量は205kgもあります。それが彼の手にかかるとこのとおり、トライアル(※)専用車両のごとく軽々と自由自在に振り回します。
ちなみに競技用トライアル車は、基本着座することはないため座席まわりさえガッポリと省かれ、燃料タンクも2Lに満たない競技に必要な最小限の大きさで80kg未満といったところです。
※トライアル:自然または人工物で高低差や傾斜が複雑に設定されたコースを、いかにバイクに乗ったまま足をつくことなく走りきれるかを競う競技
オフ車乗りが通常はルートを模索しながら進んでいくような、いわゆる「ゲロ道」と呼ぶような場所であっても、もっとも難易度の高くなりそうなルート「ばかり」を躊躇も逡巡もなく選んでは、大柄なテネレ700でガンガン突っ込んでいき、難なくクリアしてしまいます。
いったん街まで降りてくると、「またまたぁ、わざわざそんなとこを」というようなところ「ばかり」を縦横無尽に走り抜けていきます(笑)。
筆者をはじめ、一般人には、「重力仕事しろ!」「摩擦係数どこにいった?」「よくよく見るとどっかにワイヤーアクションのワイヤーが写ってね?」と、無数の「!」と「?」が脳裏に飛び交うようになるのは間違いありません(笑)。
百聞は一見に如かずといいます。文字通り筆者の駄文で想像するよりはまず観てみるべきでしょう。このレベルの映像を観たいと思ったらタダで観れるって、なんていい時代なんだ……。
オフロードを極めた男「ポル・タレス」
ここでポル・タレス選手のプロフィールについておさらいしておきましょう。トライアル競技で多くの栄冠を勝ち取っているスペインのプロライダーで、トライアルで培った技術を活かして世界一過酷ともいわれるレース「エルズベルグロデオ」のようなエクストリーム・エンデューロやハード・エンデューロで活躍しています。
エクストリーム・エンデューロは、走破そのものが困難となる設定のコースを規定時間内にどれだけ周回できるかを競う耐久レースで、上記のエルズベルグロデオは「ぶっ飛び王者決定戦」「変態王決定戦」などという異名もあるほど過酷なもの。モトクロス・エンデューロ・トライアルといった主要なオフロード系レースの全ての技術が満遍なく高いレベルで必要とされるレースです。
とあるインタビューでは「これからもこういった映画を作っていきたい」と抱負を語っていますので、今後も要チェックですよ!