戻らない空の日常。鋼鉄の翼が再び舞いあがることを願って【新型コロナ】

全世界で未曾有の危機をもたらしている新型コロナウイルス。世界的にみれば人口も多く国土の狭い日本だけど、感染者数、死亡者数ともにかなり低い状態だ。それでも全国民にとって暗く沈んだ生活が続いている。そして多くの職種がわずか半年前とはまったく違う状態に陥っている。経済の重要性をこんなにも身近に感じたことはなかった人も多いことだろう。

 

そんな中でも航空会社の損失は規模的にとんでもない数値に跳ね上がっている。たとえ100万円の赤字損失でもよくないのはどんな会社も同じだが、リスクマネージメントを十分考慮しているはずの「大企業」と一般的に言われる企業も、さすがにわずか2ヶ月でこんな状況になるとはまったく思わなかったはずだ。

 

暗雲立ち込める航空業界

物流や運送業界のなかでも航空会社は少し特殊なところがある。タクシー、ハイヤー、鉄道、トラック輸送などと比較するとその規模はどうしても大きくなる。だからこういう事態になると損失も大きい。それだけではない。四方を海に囲まれた日本では海外への架け橋に航空機は切り離せない存在だ。もちろん。船舶もあるが大多数の人、急ぎの物資の移動は飛行機に頼わざるを得ないのが現状だ。

 

国土が狭いから、一部の離島などを除き国内移動であれば少し時間がかかるが鉄道や車両でも可能だ。ただ海外はそうはいかない。当然だけど全世界の航空業界にとって今回のダメージは大きすぎる。まして「いつまで?」か現時点ではわからないのが致命的だ。「先」が見えないことはこんなにも苦しいことなのか、と改めて感じる。

 

日本でもっとも商業航空機の離発着の多い羽田空港を取材したのは6月1日のこと。最後まで残った5都道県の「緊急事態宣言」が解除され一週間。街中での人の動きも少し増えた感じだがここは写真のとおり。日本を代表する航空会社の旅客機の多くが欠航のため待機するはめに。みじめなのは駐機場では足りず空港内の敷地の端にランダムに止められた最新型の旅客機。小雨にさらされた物言わぬ機体はあまりにも惨めに見える。

 

国内線のターミナルもそうだが、全便国際線の第3ターミナルには人の姿もまばらでフライトを利用する人はほぼいない。ある大手の航空会社は6月中の国際線フライトは当初予定の96%減と決定したそうだ。昨年同時期に比べ80%減の現状とは聞いていたがここまでとは驚きを通り越して言葉が出ない。当然この日、羽田空港から離陸した同社の国際線はゼロ! ロンドンから帰ってきた着陸便の乗客数は20名もいなかった。

 

その規模が大きいだけに、航空会社だけでなく空港全体を含めてそこに携わる企業そして人の数も多いこの業界。空港は華やかで何か楽しい感じがして個人的には大好きなのだが、この日の天気と同じで多くの人はこの惨憺たる状況に涙を流しているだろう。

 

羽ばたく日を夢見て

どんな業種や人たちも同じだがみな明るい未来を切望している。そして、すぐ先にある未来は今までと決して同じではないはずだ。なぜなら人には学習能力がある。もしまた世界的な災害が来ても次は同じ状態を回避できるはずだし、そうなることを信じる。だから絶対により良い世界になるはずだ。

今はじっと状況を見守っている旅客機たち。決して翼がなくなったんじゃない。必ずまた大空にはばたく素晴らしい姿を見せてくれるだろう。

松並学

松並学

広く、浅く、何にでも興味を持ってしまう老人一歩手前の九州人。カップルのことをアベックと言いそうになることを一番注意している今日この頃。