海外では、最近続々と電動バイクのニューモデルが登場していますが、これほど伝統的な「チョッパー」スタイルにこだわったものは珍しいかもしれません。スイスのシンサイクルズ(SINE CYCLES)が製作した電動バイクなんですが、なかなかカッコイイのでちょっと紹介してみましょう。
空冷フィンにリジッドフレーム
長いフロントフォークに小振りのタンク、サドルタイプのシートにフラットなバーハンドル、リヤサスペンションがないリジッドフレームにホイールはフロント21インチ&リヤ18インチ…などなどで、まさにロー&ロングなフォルムを具現化しています。かなり雰囲気満点で、ぱっと見は電動とは思えないほどの完成度ですよね。
フレームの中央部には、エンジンらしきものも搭載されています。でもこれは実はバッテリーなんです。ハーレーなどのVツインとは形状が違うので、多少の違和感はもちろんあります。しかし、空冷フィンまで付けているのは、かなり頑張っていると思いませんか?
その後ろには、後輪とチェーンで連結されたダイレクトドライブ方式の電動モーターもセット。これら2つが、エンジンに代わるこのバイクのパワーユニットです。
なぜタンクがある?
ここで、ちょっと疑問。そもそもガソリンが不要のこのバイク、タンク内には何が入っているのでしょうか?
答えは電気系のパーツ類。バッテリーのすぐ上にありますので、位置的にもベストのようです。スタイルだけでなく、機能的にも考えられているのが、このバイクのもうひとつの良い点です。
また、エンジン車と違い、オイルやフィルター、プラグやタイミングベルトなどを交換する手間もありません。メンテナンスが楽なのもメリットですね。
120km/hを発揮
このバイクのパワーユニットは、アメリカ・カリフォルニアの電動バイクメーカー、ゼロサイクルズが製作しています。通常はコンプリートバイクの販売しかしない同社ですが、シンサイクルズのエンジニアが拝み倒して作ってもらっています。
最高出力は27ps相当で、最高速度は120km/hとまぁまぁの速さ。しかも電動なので、アクセルを開けるといきなり鋭い加速をしますから、乗るとかなり楽しいはずです。
難点は、バッテリーをフル充電してからの航続距離が、わずか55kmだということ…。ツーリングなどの遠乗りは、ちょっとキビしいですね。今のところは街乗りメインになりますが、この点も今後改善していくそうです。
スマホのアプリで制御もOK
このバイクには、スマートフォンに専用アプリを入れることで、充電までのバッテリー残量や距離毎の平均消費ワット数などが一目で分かります。また、出力特性をカスタムして、好みのライディングモードを選択することも可能です。トラディッショナルなスタイルの割には、最新テクノロジーも入っていて、乗るのがさらに楽しくなりそうです。
最近の世界的なガソリンエンジンに対する排ガス規制などを考えると、バイクのパワーユニットが、エンジンからバッテリー&電動モーターになる日は近いかもしれません。で、もしそうなっても、これくらいスタイリッシュなバイクに乗りたいですよね。そういった意味で、まさに時代を先取りしているのがこのバイクなのです。