コロナ禍による3密を避けた移動手段としてバイクが注目を集める一方で、健康面に配慮して自転車を選択する方も増えている。
ご多分に漏れず、バイク一筋である筆者も今年こそは自転車デビューしようと思うものの、長年のバイク移動によってすっかり身体も錆びきってしまった。
また、東京は意外と平坦な土地が少なく、山手線圏内も全般的に傾斜地が多いため、電動アシストは必須である。
そこで今回は、自転車デビューのリハーサルと身体のリハビリを兼ね、ダブルミーニングな”走行リハ”を決行した。
【山手線】弾丸1周ツアー
「運動不足のバイカーでも電動アシスト自転車であれば山手線一周もラクラク回れるのか」そんな実験のお供に選んだのは、ロードレーサーやMTBのような方向性に特化するのではなく「オールマイティー」がコンセプトであるヤマハ「YPJ-TC」。
YPJ-TCは前後ディスクブレーキ、フロントサスペンションを装備し、5つの走行モードが選べる。さらに、サイドスタンドやキャリア、バッテリーランプを標準装備しており、コンセプト通りの充実さを見せる。
また、一充電での走行距離は、最もアシストパワーの強いハイモードで91kmも走行可能であるため、1周約40kmの山手線なら十分だ。
ちなみにプラスエコモード(最もアシストパワーの弱いモード)であれば、なんと237kmも走行可能となっている。慣れてきたらギアチェンジと併用してモードも使い分けることで、1週間充電せずとも毎日の通勤に使えるほどのポテンシャルを秘めている。
まずは渋谷から新宿へ
“肩慣らし”ならぬ、”脚慣らし”として、まずは渋谷駅からスタートし新宿駅へ向かった。
この間の道のりは地味にずっと上り坂だったものの、モーターがアシストしてくれたため全く体力を消耗しなかった。
そのままの流れで池袋へ
新宿を後にし、新大久保、高田馬場、目白を駆け抜け、一気に池袋へ。
道中は慢性的な渋滞ポイントがいくつもあるが、自転車であればクルーズするかの如くスイスイだ。
大塚〜巣鴨を過ぎたあたりで、代わり映えのしない幹線道路の風景が少し食傷気味になってきたため、少し寄り道してみることにした。
せっかく機動力の高い自転車でサイクリングをしているのだから。
ハード系がメインのベーカリー「シャモニー」@駒込
ということで、スマホで調べながら訪れたベーカリーの1軒目は、駒込の商店街にあるオシャレな外観の「シャモニー(CHAMONIX)」。
バケットなどのハード系を中心に、調理パンや菓子パンもバランスよく揃っている。ここで買ったクロワッサンが最高に美味しかった。
なお、この時点でのバッテリー残量は85%。体力の残量も80%前後。程よい前傾のハンドルとフロントサスペンションで長距離サイクリングも全く気にならない。
鶯谷駅から自転車で2分の「言問茶屋」@鶯谷
調子に乗って2軒目のベーカリーは、田端〜日暮里を通り過ぎ、鶯谷にある「言問茶屋」。
国産小麦と天然酵母を使用したモチモチの生地に定評があるベーカリーだ。
SNSなどで人気のバナナブレッドを食べてみたが、確かにモチモチでリピートしたくなるほど美味!
並びにレストランを併設する神田川沿いの「ヴェルデ・レガーロ」@秋葉原
3軒目のベーカリーは、山手線 秋葉原駅というよりも浅草橋駅に程近い「ヴェルデ・レガーロ(Verde Regalo)」。
パン屋さんでありながら惣菜にも定評があるらしく、間をとって惣菜パンを購入。後で気づいたのだが、鹿児島県指宿のオクラを混ぜた「ヴェルデパン」という食パンが人気だったらしく、買わなかったことに後悔。
ベーカリーを3軒まわり3個もパンを食べてしまったが、YPJ-TCのマルチファンクションメーターには消費カロリーの表示機能も付いている。試しにチェックしてみたが、まだまだ摂取カロリーと消費カロリーで相殺できていないようだ……。山手線も半分以上回ってしまった。少しアシストパワーを弱めてカロリーを消費することにした。
東京駅沿いを颯爽と駆け抜ける
普段、電車でしか訪れることのない東京駅を自転車で駆け抜けた。
この時点でのバッテリー残量は70%。体力は、パン屋さんでの買い食いによって80%前後。
東京駅付近は道幅が広く、駐車中のタクシーを除いては非常に快適に走行できた。
ラストスパート前にひと休み
東京駅以降は、新橋〜品川〜五反田といったオフィス街を走るため、ラストスパート(カロリー消費のため)に駆け抜けることを決意。
と、その前に丸の内で水分補給がてらひと休み。こういったシチュエーションで、サイドスタンドが付いていて良かったと感じた。軽量かつ太い脚で出しやすく安定性もある。
有楽町からは一気にラストスパート!
残り1/3は、とにかく漕ぎまくって、ゴール地点である渋谷駅までラストスパート。
渋谷駅目前の恵比寿駅周辺は再び坂が多くなるため、体力の限界を懸念したものの、YPJ-TCのアシストによって全くの杞憂に終わった。
ゴールである渋谷駅に戻った時点でのバッテリー残量は50%。ちなみに体力の消費も50%近く残した余裕の完走だった。
ハマる可能性大!乗ることで楽しみが広がるYPS-TC
これまで都内の移動はバイクばかりだったが、サイクリングがこれほどまでに楽しく快適だったのかという新しい発見があった。
気負いしそうな上り坂もアシストによって全く苦にならず、適度な前傾姿勢と自転車ならではの気軽さによって、とにかくストレスフリー。
駐車スペース探しに翻弄させられることもなく、小さな荷物ならバックパックやキャリアなどで十分だ。
モーターによるアシストで体力に自信がない方でも気楽に乗ることができ、バイクと同様に風を切る爽快感も感じられる。
オールマイティをコンセプトに開発されたヤマハの電動アシスト自転車「YPJ-TC」。今までバイク一筋だった方や、通常の自転車に疲れてしまった方にも、是非とも体感していただきたい一台である。
YPJ-TC
全長:L=1,825、M=1,810、S=1,810(mm)
全幅:590mm
サドル高:L=920〜1,065、M=890〜995、S=835〜910(mm)
適応身長のめやす:L=170cm以上、M=165cm以上、S=154cm以上
車両重量:L・M=22.6kg、S=22.3kg
一充電走行距離:ハイモード91km、スタンダードモード112km、エコモード153km、プラスエコモード237km
充電時間:3.5時間
タイヤサイズ:前後700×35C相当
フロントチェーンリング:2速(46T/34T)
カセットスプロケット:9速(11~30T)
前後ブレーキ:SHIMANO M315 油圧式ディスクブレーキ
メーカー希望小売価格:33万円(税込)