BMW「507」をご存知でしょうか? BMWが1956年から1959年にかけて製造していた2シーターのカブリオレで、エルビス・プレスリーの愛車だったとしても知られています。
今回はそんなエルヴィス・プレスリーの愛車、BMW「507」についてご紹介いたします。
エルヴィス・プレスリーの愛車を納屋で発見
2014年、BMWコレクターとして知られるジャックキャスター氏の納屋の中で、一台のBMW「507」が発見されました。
この車両、実は過去にあのエルヴィス・プレスリーの愛車であったことが、シャシーナンバーなどから判明します。ちなみにシャーシナンバーは”70079″です。
エルヴィス・プレスリーがドイツ駐留時に購入
こちらの「BMW 507」は、エルヴィス・プレスリーがドイツ駐留時に購入したというもので、兵役の後に一緒にアメリカに持って帰ったものの、その後すぐに売却されたといいます。1968年にBMWコレクターのジャックキャスター氏が購入し、納屋の中で保管されているのを発見されたそうです。
BMWのクラシックカーチームがフルレストアを開始
発見された車両は、BMWのクラシックカーチームがレストアして蘇らせるべく、ドイツのBMWに送られましたが、写真を見ても分かる通り、ヒドい状態でした。
ボディは劣化し、エンジンはシボレー製V8に載せ替えられ、改造されたサブフレームまで修理が必要でした。インテリアも同様のヒドい状態で、フルレストアが必要でした。
ファンの口紅が原因でレッドにリペイント
また、この車両は新車から今までの間に8度も塗り直されていたため、その古い塗装を全て剥がさなければなりませんでした。ちなみに、エルヴィスが購入した際は、本来のカラーであるホワイトでしたが、ファンが口紅でメッセージを書き込むことに辟易し、レッドに塗り替えたという逸話も残されています。
レストアの様子
BMWのクラシックカーチームを持ってしても、復元するのはかなり大変だったようです。それでも、エンジン、塗装、シャーシなどをオリジナルの状態に再構築していったようです。
復原されたBMW「507」
フルレストアされたBMW「507」です。本来のカラーであるホワイトにペイントされました。非常にエレガンスな姿を取り戻しています。
エンジンも元々、積まれていたBMW製V8エンジンを組み上げ、本来の姿に戻されました。
朽ち果てていたインテリアも完全に復元されています。さすがBMWのクラシックカーチームがレストアしただけのことはありますね。
ペブルビーチ・コンクール・デレガンスに展示される
かくしてBMWクラシックカー部門は、このクルマをオリジナルの状態に復元しました。フルレストアされたエルヴィス・プレスリーの愛車だった「507」は、BMW創立100周年を記念して、今年の8月21日に行われるペブルビーチ・コンクール・デレガンスに展示されることとなっています。
BMW「507」について
BMW「507」は、元々、安価なスポーツカーを目指していましが、開発費がかさみ、結果、当時の高級車メルセデスベンツ「300SL」と変わらない高価格車となってしまい経営不振を招き、総生産台数は僅か252台で生産終了となった悲運のクルマです。しかし、そのオーナーにはエルヴィス・プレスリーやアラン・ドロンといった、世界的なスターが含まれていたりもします。
3.2LのV型8気筒 OHV NAエンジンを搭載、キャブレターを2基とし、最高出力150hp / 5,000rpm、最大トルク24.0kg / 4,000rpmを発揮しました。トランスミッションは4速MTで、最高速度は時速200キロと発表されています。当時からすれば、かなりの高性能車だったんですね。生産台数の少なさも手伝って、現在ではかなりのコレクターアイテムとなっているようです。
ましてや、エルヴィスの愛車だったこちらのシャーシナンバー”70079″など、天文学的な金額になっても不思議はないですよね。あのロックスターの愛車だったBMW…、一度でいいから実車を拝んでみたいものです。