日産「リーフ」やBMW「i3」など、EV(電気自動車)を街中で見かけることも多くなりました。充電ステーションも設置が進み、日常の足として馴染みつつある印象ですが、実際にはどこまでマイカーの選択肢として浸透しつつあるのでしょうか。
アンケートで挙げられた8個の質問
その一端がカーシェア、レンタルサービスを行うタイムズクラブのアンケートから見えてみきました。同クラブ会員で2018年12月6日以降に入会し、直近でパーク24グループが提供する「時間貸駐車場、予約制駐車場、カーシェア、レンタカーサービス」を利用した方を対象に行われたものです。
2019年12月6日から12日にかけて行われ、有効回答者数が9,230名となったこのアンケートからは、ガソリン車の絶対的存在感と、EVへの期待が見てとれます。今回のアンケートは下記の8個の質問で構成されていました。
- クルマを所有していますか?
- 保有するクルマのエンジンタイプは何ですか?
- ガソリン車以外のクルマの購入を検討したことがありますか?
- ガソリン車以外の購入を検討したことがある人が保有するクルマの種類
- ガソリン車以外で購入を検討したクルマの種類
- 電気自動車を取り巻く環境がどのようになったら購入しますか?(全体)
- 電気自動車を取り巻く環境がどのようになったら購入しますか?(年代別)
- 電気自動車(普通乗用車タイプ)のカタログに記載されている1回充電あたりの航続距離をご存知ですか?
項目を見て分かる通り、ガソリン車と電気自動車という2つの異なる要素が対立させられるかのように取り上げられています。ユーザー目線でガソリン車はどういった立ち位置にあるのか、そしてEVに対してどのような期待を持っているのかをうかがい知ることができるでしょう。今回はテーマに沿って、EVに関連した質問にフォーカスを当てていきます。
手ごろな価格になったらEVを購入すると全体の46%が回答
所有するクルマのエンジンタイプの質問ではクルマ保有者6,704名が回答しており、ガソリン車の77%がトップで、EVは1%という結果になりました。ハイブリッド車とディーゼル車それぞれの15%と比べても、まだまだ普及していないということの表れです。地域差もあるかもしれませんが日本全体から見ると、街中で見かけるEVは意外とレアなんですね。
そうなると何が所有のネックになっているのかが気になるところ。6番目のどのような環境になったらEVを購入するのかという質問がその答えを教えてくれています。全体の半数近い、46%が価格が手ごろになれば購入するという回答でした。これは年代別でも同じ傾向となっており、いかにEVを割高に感じているかという消費者心理が見て取れます。
例えば日産「リーフ」のエントリーグレードを例に取れば、同価格帯・同クラスのエンジン車、トヨタ「プリウスPHV」と比べても航続距離は4分の1未満に過ぎません。コスパの面で考えると、やはり利便性の高い後者に軍配が上がります。さらにいえば、テスラ「モデル3」やホンダ「Honda e」といった航続距離やデザイン性をアップさせたモデルともなると500万円台。もはやミドルグレードの高級車クラスです。
航続距離はさほど気にしていない
6番目の質問でも17%の方が気にしているように、まだまだ航続距離がネックになっているという印象は根強くあります。
しかし8番目の質問の答えを見ると、その印象は一変します。2015年では94%の人がEVの航続距離を1〜50kmと理解していたのに対して2020年では101〜200kmが22%でと201〜300kmが27%と半数以上が回答しているのです。
型落ちの初代リーフの中古車が160km前後の航続距離であることや、現行のエントリーグレードが300km前後ということを考えると、ユーザー層のEVに対する情報収集や期待が高まっているといえますし、現行EVのスペックを大方正確に理解しているといえるでしょう。1充電でこれだけ移動できるなら、普段使いはもちろん、ちょっとした旅行にだって十分いけてしまいますし、もはやそれほど購入において航続距離の不安は大きな問題ではなくなってきているのです。
すでにEVの実用性は十分!
こうしてみてみると、すでにEVはマイカーとして十分な選択肢となってきているといえます。この先どのくらいバッテリーの高性能化や車両自体の低価格化が進むかはまだ未知数ですが、すでに十分な実用性をもっているのは確実。気になって足踏みしているくらいなら、手を出してしまっても損はありませんよ。エンジン車とは違った静音性や出足のいい近未来的な走りを楽しみましょう。
もっともバッテリー劣化によるリセールバリューの低下はまだまだ不安ですけれどね……。