以前に、「オフ車のススメ」と題した記事を書きました。
読んでみて、少しは興味を持っていただいた方はいらっしゃるでしょうか(笑)
今回の記事では、筆者の場合(ぐだぐだ)を振り返った反省も含めて、オフロードデビューに向けての具体的な準備についてご紹介します。
いきなり競技志向で始めるというケースは少ないと思いますが、そういった場合は既にそういう環境が整っているであろうとして、以下では言及しません。あくまで公道の延長としての林道を軽く走ってみたい場合を想定しています。
仲間
身近な仲間内に、一定の年季の入ったオフローダーがすでにいるならよいのですが……まずはネット上でのやりとりだけでなく、実際の行動範囲が自分と被って同行できる仲間を探しましょう。
ひと昔前であれば、それっぽい人たちをよく見かけるような集合スポットで声をかけるといった形になったのでしょうが、現在では各SNSやライングループといったコミュツール上で、簡単に地域で活動しているグループを見つけることができるはずです。
多くの場合、場所次第で通信も途絶してしまう山奥に分け入っていくことが目的ですので、何らかの理由で故障や負傷で動けなくなった場合に同行できる仲間の存在はとても重要であり、林道ビギナーはもちろんベテランでもソロ行動は出来る限り避けることが鉄則とされています。
天候次第で激変する山中の走りスポットの最新情報を事前に共有できたり、悪路を走行する上で携行品はできるだけコンパクトに収めたいところで、パンク修理キットや工具やロープといった共用できる緊急用装備の分散携帯をできたりといった利点もあります。
で、実際にグループを見つけてコンタクトを取る場合に、多くの場合は杞憂に終わるとは思いますが……ショップやその常連さんが主催・中心のグループもありますので、そのショップで購入した車両ではない / メンテ等で世話にならない場合に、後々なんとなーく肩身が狭く感じるかもといった気遣いさんは、あらかじめそのあたりも考慮しておきましょう(笑)
車両
よく整備された林道であれば、スクランブラー・トラッカー・アドベンチャーといわれるオンロード寄りのデュアルパーパス車をはじめ、比較的アップライトなライポジを取れる車種で、オンロードでの経験をそれなりに積んだライダーならば、普段乗っているオン車でも走行がまるで無理ということはありません。
(ただし路面荒れよう次第で無理に進んでしまうと、それ以上進むのも引き返すこともできなくなったり、バイクを痛めてしまうので慎重に)
オフ用に増車するのに「これに乗りたいんだ」という希望がない場合、以前の記事で紹介したこの三台であれば、トラブルを抱えた車両でない限りは林道ビギナーには間違いのない選択となるでしょう。
アンダー125ccクラスにも良いオフ車は多数あって、イニシャルコスト・ランニングコストも軽減できる上に、よく整備された林道を気持ちよく走るぶんには全く問題ありません。
ただ、自然災害跡等を迂回するため厳しいルートを取らざるを得ない場合や、後々腕前が上がってきてより厳しいコースにチャレンジしたくなった場合には、トルクとパワーの不足から(純 / 準トライアラーを除き)250ccクラスよりも難易度が上がり気味になることもありますので、そのあたりはあらかじめ考慮しておきましょう。
装備
ベテランの中にも、とにかくガチンコで万全にフル装備すべきというパッシブセーフティ派の人と、少しでも動きやすいほうがそもそも危険な局面にならないというアクティブセーフティ派がいたりします。
が、ビギナーに関しての理想をいえば最初にオフロード用の装備一式をガッツリ揃えてしまうに越したことはありません。
しかしながら、ここでは「まずは(初心者向けのコースを)走ってみよう」という趣旨なので、その上で最低限これだけはといえるものについてご紹介します。
ヘルメット
当面は普段オンロードで使っているフルフェースでもOKですが、転倒せずとも木の枝等で傷になることは覚悟して許容しましょう。
シールドがあればゴーグルは不要になりますが、季節によっては吐息で曇りやすかったりと、オフ用のものよりも息がこもりがちではあるかもしれません。シールドを上げたときは、木の枝や虫に気を付けましょう。
エルボー・ニーシンガード
パンツ(ズボン)に対して内巻きのものと外巻きのものとありますが、バイクを降りて街歩きをすることは考慮しなくて良いので、どちらかといえばハード素材の内巻き外巻き両用できるものがよりオフ向きで、専用装備を揃えていった後々まで使えます。
ブーツ
オフロード用フルレングスブーツは必須としたいところではありますが、足首を固め気味の操作性に慣れるまでの難しさといったものも浮上してきますので、この時点では足首上まであるライディングシューズであればOKとしておきます。
ただし、悪路走行中にバランスをとるための足つきだけでなく、イガイガのオフ車のステップ・ペダルでもオン靴は傷みやすいですし、転倒した際に(転倒の仕方もヘタで)バイクが脚にのしかかってくることを考えると、ここはやはり早い段階でオフロード用フルレングスのものを準備しておいたほうが無難と思われます。
グローブ
オンで使っている革のグローブでも良いのですが、革は乾きにくいため濡れたり汗をかいた時の消耗が激しいことと、高速での擦過に備える必要性が薄いのと、比較的安価でもありますので、通気性と速乾性に優れたオフ用のグローブは早々に買ってしまってもよいでしょう。
その他
チェストプロテクターや脊髄パッド等も、当然あればあったほうがよいのですが、季節によっては重ね着が難しいこともあるため、よく整備された林道オンリーのうちはオンでも使っている各部プロテクター内蔵のライジャケでもよいでしょう。
そのうち藪こぎ等までするようになれば痛みが激しいので、オフ向きのトレールジャケット等を検討してください。
パンツに関しても整備された林道オンリーのうちはオンで使っているもの+外巻きプロテクター等でなんとかなりますが、グローブやジャケットとも同様に、走破可能範囲が拡がってくれば撥水性や速乾性に優れたオフ用のものへの置き換えを検討しましょう。
その他個人持ちの携行品としては、タオルやティッシュ、若干のファーストエイド用品等に加えて、500mlのペットボトルが余裕で入る程度で、手足・体の動きを阻害しないバッグ・リュックがあればよいでしょう。(人里離れた地域での飲み物の確保は重要です!)
整備されたメジャーな林道で必要になるケースは稀と思われますので、車載工具以上の工具であったりロープや鋸・鉈といったものは、当面はアテンドしてくれるベテランの判断に任せておけばOKです。
まとめ
ここまで書いたところで、正直なところ情報としてはまったく不足しているのは、筆者としても自覚しています。
タイヤのチョイスや発展的な具体案は、知り合えた先達たちと相談してみてください。
とあるジブリのアニメのセリフで「(飛行機乗りと船乗りの気質を併せ持つ)飛行艇のリの連中ほど気持ちのいい男達はいない」とありましたが、同様にバイク乗りと山男の気質を併せ持つのが二輪オフローダーだといえます。
何かと楽しませてくれるバカ(称賛)ばっかりで、新人の世話焼きをするのが大好きという奇特な人も多いので、是非新しい世界に飛び込んでみてください。