「車両の初期化」って知ってる?愛車の本当の実力を把握しよう!

パーツメーカーや販売サイトであれこれのパーツを眺めていると、それを装着するとどういう効果があるかの謳い文句に、ついつい鼻息が荒くなって「カートに入れる」ボタンを押しそうになったりもしますが。

 

その時感じている愛車への不満は、本当にその車両の実力なのでしょうか?

消耗品のヘタリであったり、気づいていないだけで本調子ではなかったり、(前オーナー、または自らによる)目的/好みにそぐわないカスタム等が原因だったりしませんか?

本来の実力ではないところを不満に感じるあまり、不具合の根本を放置したまま、安易な場当たりカスタムを重ねてしまうという下降スパイラルに嵌っちゃってませんか?

 

他人と差別化を図ることができさえすれば、乗りにくさ上等!どうにかする!といった志向のカスタムや、車検も査定ダウンも上等!といった心意気もあるのは理解しておりますので、以下はその辺りには触れない方向で(笑)

 

消耗、劣化によるもの

以前に、ネットオークションその他の個人間売買で購入した車両の入手時の状態についてご紹介しました。

https://forride.jp/motorcycle/net-auction

あの記事で述べたあたりが、乗り出しにあたって最低限必要な初期化(店頭購入した場合であれば“通常は”クリアされているべきこと)といえます。

 

バイクが、走る・曲がる・停まるにおいては、数々のパーツが相互に影響しあっています。

それらは互いの摩擦であったり、温度であったり、経年であったり、化学変化(酸化や紫外線等)であったりと、様々な原因で摩耗・劣化・硬化・破損して設計上期待されるべき能力を発揮できなくなっていることがあります。

 

また、消耗品のアップグレードとして投入したカスタム品は、純正以上の耐久性を狙ってのものもありますが、一時の能力は高くとも長期の耐久性には劣る場合が多い傾向にあります。

 

何らかの不具合を感じたときに、カスタムパーツの謳い文句を見てしまうと、ついついその車両特有の根本的なものかと思いこんでしまいがちですので注意が必要です。

 

比較的判りやすい例として。

倒しこみに難儀するバイクの、真ん中ばかりが減ったタイヤを新品に替えてエアを規定値にしただけで、まるで別のバイクになるような状態や、スカスカに抜けたサスのOHブレーキ効力のコントロール幅が増えるのを想起してみてください。

そういった本来の性能への復帰を図ることが、車両の初期化です。

 

不具合によるもの

走る・曲がる・停まるにおいて消耗以外を原因として、明確なトラブル症状が出るわけではないが、ちょっとしたフィーリングの悪さが出る場合です。

  • 過去の整備履歴の中での向きや表裏といった組付けミスサイズ選択ミス、締め付けトルクの不良等
  • 明確なトラブルが出るほどではない、本来消耗しない部分の消耗や、わかりにくい/影響の小さい部分の破損等

乗り出してから悩みに悩んだ末に判明するものは多いです。

 

体験した中では、マフラー交換後にどれだけキャブセッティングをやり直しても、温間時の特定回転域での息つきが解消できず困っていたのが、実のところバルブクリアランスの詰めすぎが原因であったといったことがあります(恥)

こういったトラブル部分を見つけ出して潰していくことも初期化の一環です。

 

カスタムによるもの

一般的に中古での買取査定では、カスタム車両よりもノーマル車両のほうが高評価となります。

これはカスタムにおける目的である、「敢えてメーカーの設定したバランスを崩して、個人の特定目的に寄せる」が、不特定多数を対象とするほどに不利として働くために他なりません。

 

もちろん、よく考えて作られたカスタム車両で、その特定目的に合致しデメリットを理解して許容できる顧客さえいれば、むしろ高値で転売することができますので、そういう顧客を多く持つ/集められる特定の業者であれば、高い査定をつけてくれる場合もありますが……

 

そのカスタムによる特定目的を求めていない、またデメリットについて無知であるユーザーからは、後にクレームとなる可能性さえ出てくることになります。

ある人にとっては必要かつ好ましい設定が、他の人には不必要どころか欠点にさえなるということで、これは業者としては避けたいところでしょう。

 

例として、上記の以前の記事にも登場したスーパーシェルパには、入手の経緯もあっての不可抗力ながら、当初は通勤用車両として抜けのいいタイプのマフラーとオンロード寄りのトレールタイヤが装着されていました。

 

やはり山道のトレッキングには不都合が多く、公道使用可のエンデューロタイヤに換えたのはともかく、マフラーもより低速域でよく粘る(と思われる)純正を中古で探して戻しました

前オーナーと筆者とでの目的と好みの違いにより、結果的に初期化を選択したようなものですね。

バランスや明確な目的もなく、場当たりでカスタムしたいがためのカスタムを重ねていった車両と新しいオーナーとのマッチングでは言わずもがなです。

 

最近ではカスタムを査定アップの材料としてくれる大手業者も増えてはきたものの、そのセットアップの良し悪しの判断や、それが故の不具合の把握と必要に応じた改修、次のオーナーへの注意点の引継ぎ等までやっているところはほぼ皆無かと思われます

 

フルノーマルを買ったはずが、仲間内の同じ車両に比べてやたら吹けが悪いうえに燃費が悪いといった場合に、キャブを開けてみたら2番手は大きいジェットが入っており、純正セッティングに戻して絶好調といった例も聞いたことがあります(おそらく社外マフラーがついていた車両のマフラーだけ純正に戻してあった?)。

こういったカスタムによる不具合や、自分の方向性への向き不向きの洗い出しも初期化の一環と言えるでしょう。

 

実効性のあるカスタムをするには、まずメーカーの設定した万人に向けた最大公約数ともいえる、純正の実力とバランスを知っておくのが近道となります。

カスタムすることを見込んで車両を購入する場合でも、わざわざ状態の良いノーマル車両を探す人も多いことも頷けます。

(もっとも、カスタム=自分色に染めるということですから、他人のやりかけはイヤだということもあるかもしれませんが)

 

とはいうものの……

以上、現状での最高の状態にすることを初期化といい、明確な構成と基準値のある純正状態であるほど把握が易しくなるといったことを述べたつもりです。

 

しかし、既に手元にある車両のカスタムを思い立った場合に、全てにわたっていったん純正戻しのOHしてみるというのもあまりに不経済なことではありますし、消耗品の交換ついでのアップグレード的なカスタムを試みるといったケースもあるでしょう。

また、これから車両購入するという場合には、後々自分で買い揃えることを考えると断然にお買い得なパーツてんこ盛りのカスタム済車両が出てくることもあります。

 

カスタムを検討する場合は、現状の不満が消耗やセッティング・セットアップのミスによるものでないことだけは、しっかり確認と把握してからにすることをお勧めします。

購入の場合は、可能であればノーマル車両と乗り比べができればいいのですが、なかなかそう上手い展開にはならないと思われますので、(できれば店員以外の)同車種のオーナー知識と経験の豊富な人の助言を求めるのがよいでしょう。

 

初心者・初級者が最初のバイクとして選ぶ場合には、不具合や自らの好みへの不向きをそれと感知できないケースも多いと思われますので、「バイクというものはこんなもの」と間違った感覚を育てないためにも、(カスタムの度合いにもよりますが)カスタム済を理由として安易に飛びつくのだけはやめておいたほうがよい・・・・・・とはいえると思います。

 

参考-flickrpixabayPhotoAC