「レトロなスタイルに最新テクノロジー」──最近のオートバイにおける、重要なキーワードのひとつである。お家芸とも言えるハーレーはもちろん、最近ではドゥカティのスクランブラーが話題になるなど、昔懐かしいスタイルと最新の性能が融合したモデルは、世界中のバイクファンの注目を浴びている。
そんな潮流の中で、ヤマハ・モーター・ヨーロッパ(YAMAHA MOTOR EUROPE)が2016年モデルとして発表したのが「XSR700」だ。
700ccツインは74.8psを発揮
エンジンは、水冷4ストローク直列2気筒を搭載。MT-07と同系列の心臓部は、最新のフューエルインジェクションを採用し、燃焼効率や高い燃費性能を実現、欧州の厳しい排ガス規制などにも対応している。最高出力は55kW(74.8PS)/9,000rpm、最大トルクは68N・m(6.9kgf・m)/6,500rpm。ミッションはこれもMT-07と同じく6速だ。
フレームはダイヤモンドタイプを採用。ABS付きブレーキは前後ディスクで、フロントがダブル、リヤはシングル。全長×全幅×全高は2075×820×1130(各mm)、タイヤは前後17インチ。車両重量186kg。カラーは「フォレストグリーン」と「ガレージメンタル」の2色だ。
LAの有名日本人ビルダーとコラボ
機能はあくまで最新。が、スタイルはレトロ。ヤマハは、このモデルを「Sport Heritage bike(スポーツ・ヘリテイジ・バイク)」と呼ぶ。Heritageとは遺産。そう、ビンテージバイク好きの方ならお分かりと思うが、往年の名車「XS650」をトリビュートしたスタイルを身に纏ったモデルなのだ。
「XS650」は、1970年代にヤマハが発売していた4スト2気筒マシン。往年のトライアンフを彷彿とさせる“バーチカルツイン”エンジンなどが人気を博したモデルだ。
「XSR700」は、そんな「XS650」をモチーフとしたデザインを採用。これは、最近のヤマハが打ち出している新たなビジョン&プロジェクト「FASTER SONS」を具現化した最初のバイクなのだ。
「FASTER SONS」は、米ロサンゼルスを拠点とする伝説的な日本人カスタムビルダー、木村信也氏とのコラボで進められている。「XSR700」のプロモーション動画(上)では、「XS650」ベースのカフェレーサーに乗って飛行場に現れた木村氏が、若いバイカーへそれを託す。そしてガレージで新たなバイクの製作を始める若いバイカー……そして遂に「XSR700」が完成!
といった流れになっている。要は、”父親世代”が親しんだバイクのスタイルや情熱などを、今の技術で“より速く走れる息子たち”へ受け継ぐのが「FASTER SONS」のコンセプトなのだろう。
なるほど納得。「XSR700」には性能だけでない、古いバイクが持つ変わらない味や魂が感じられるのは、このためだったのだ。
ヨーロッパでの発売予定は2016年11月。日本市場への導入は未定だ。
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参考 – YAMAHA EUROPE