ヤマハ・セローが35年の歴史に幕をおろすこと!ヤマハは1月に発売した新型セロー250を最後にセローの生産終了が発表しました。オフロードファンだけでなく幅広い層のライダーから愛されてきたセローの歴史や魅力、さらになぜ生産終了になったのか迫ってみました。
二輪二足がトレールバイクを切り開いた!セローは偉大なオフロードバイク
「二輪二足」、これはヤマハがセローを開発するうえでコンセプトにしてきたことです。
二つのタイヤと二本の足、これら四つ軸に前へ前へ進んでいけるバイクを作り上げようと1985年にセローは登場し、そこから35年間独自の進化を遂げて行きました。そもそも、セロー(SEROW)はヒマラヤカモシカを意味し、岩場を走り回るカモシカのようにマウントトレールや山岳を走り抜けれるバイクへと熟成を重ねてきました。
アウトドアブームやエンデューロレースの人気が高まっている中で、セローの素晴らしさが再認識されても良いはずなのに、このタイミングで生産終了は悲しいニュースです。
なぜ生産終了に!?
過去に、セローは平成28年排ガス規制へ適合できずに生産終了になりました。それでも、O2フィードバック制御のフューエルインジェクション、キャニスターを装着して2018年夏に復活を果たしました。
しかし、2021年に施工される欧州環境規制「EURO5」に対応させるには大幅な改良が必要になり、その他、排出ガスを浄化する装置の劣化を監視する機能車載式故障診断装置(OBD2)搭載やABSの義務化など、もろもろの規制に適合させるためにはコストがかかり、これ以上セローを改良して販売しても採算が合わなくなるため、セローと兄弟車のトリッカーの生産終了が決まったのです。
そもそも、空冷エンジンが今後の排ガス規制に対応するのが難しくなり、空冷エンジンを搭載したモデルは排ガス規制適合のために、どんどん水冷化されています。
では、セローも水冷化すればいいのではと考えてしまいますが、新エンジン開発には莫大な費用がかかり、セローに搭載される空冷4ストローク単気筒SOHCの独特なエンジンフィールが好きというファンが多いのに、水冷化させたセローをファンが納得することはないでしょう。
年々厳しくなる規制によりロングセラーの名車が続々と生産終了に追い込まれていますが、セローもその一台に入ったことになります。
これが本当に最後!ヤマハ・セローファイナルエディション
新型セローは2020年1月15日に発売され、最終モデルを意味する「ファイナルエディション」がモデル名に加えられています。
カラーは1985年発売の初代モデルを彷彿とされる、「パープリッシュホワイトソリッド1(ホワイト/グリーン)」と「パープリッシュホワイトソリッド1(ホワイト/レッド)」の2色を設定し、タンク上には「FINAL EDITION」エンブレムが刻まれています。
また、通常モデルに積載性と機能性を高める装備を加えた「アクセサリーパッケージ・ツーリング・セロー」も同時に発売され、装着されるアクセサリーパーツはヤマハグループのアクセサリー専業会社・Y’S GEARが販売しています。
スペック
ヤマハ新型セロー250・ファイナルエディション | |
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全長×全高×全幅 | 2,100×805×1,160 |
シート高(mm) | 830 |
軸間距離(mm) | 1,360 |
車両重量(kg) | 133 |
燃費・WMTCモード値(km/L) | 38.7 (クラス2、サブクラス2-1) 1名乗車時 |
エンジン種類 | 空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ |
排気量(cc) | 249 |
内径×行程(mm) | 74.0×58.0 |
圧縮比 | 9.7:1 |
最高出力(kW[PS]/rpm9 | 14[20]/7,500 |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 20[2.1]/6,000 |
トランスミッション | 常時噛合式5速 |
タンク容量(リットル) | 9.3 |
タイヤサイズ | 前:2.75-21 45P(チューブタイプ) 後:120/80-18M/C 62P(チューブレス) |
価格
セロー250・ファイナルエディション:588,500円(税込)
アクセサリーパッケージ・ツーリングセロー:644,600円(税込)
まとめ
「乗りやすいモトクロスバイクはどれだ?」と聞かれればセローと答える方が多いでしょう。
かといって、セローはビギナー向けではなく、林道ツーリングやエンデューロのベテランライダーもセローを愛用する方は多く、これほど多くのライダーに愛され続けたモトクロスバイクはセローぐらいです。
セローが絶版になったことで今後は中古相場も上がってくることが考えられるため、気になる方は新車で購入できるラストチャンスを逃せません。